パナソニック コネクト㈱(パナコネクト)は2月26日、倉庫業務の標準化(※1)と人員計画の最適化を実現するSaaS型業務アプリケーションとして、シフト最適化ソリューション「CYTIS Shift(サイティス シフト) for Logistics」の提供を開始すると共に、同サービスを花王のロジスティクスセンター全44拠点に導入完了したと発表した。

シフト最適化ソリューション「CYTIS Shift for Logistics」を提供開始

昨今の物流業界では、慢性的な人手不足や人件費、物流コストの高騰が進行しており、倉庫運営のさらなる効率化が求められている。さらに、従業員ごとにスキルや業務内容、勤務条件等が異なる中、複雑化する現場の状況を正確に把握することは難しく、作業計画・シフト作成といった間接的な業務に時間がかかることが、生産性や利益率向上にとっての課題でもあった。

シフト最適化ソリューション「CYTIS Shift for Logistics」は、業務の平準化(ピーク分散)を実現するAI(数理最適化)により、入出荷物量の予測データ、業務の生産性、順序性、作業の最大・最小人数の制限といった業務の制約事項、従業員の多様な勤務条件を考慮して、最適な人員配置・シフトを自動作成する。

シフト最適化ソリューション「CYTIS Shift for Logistics」

花王では、ベテラン社員に頼ることなく効率的に現場運営できるインフラを構築し、倉庫の現場運営を安定化することが急務だった。

パナソニック コネクトでは、現場の作業を可視化し、作業ごとの標準値をものさしとして設定したのち、実作業とのギャップの原因を特定して改善を繰り返し実行するインダストリアル・エンジニアリング(IE※2)を強みとしている。「CYTIS Shift for Logistics」の導入にあたり、同社はその強みを活かして作業の種類や内容を明確に定義し、可視化させ、倉庫業務の標準化を実現するサポートをした。今回の導入により、シフト作成時間の短縮のみならず、最大ピーク人員を抑えた効率的な人員計画の最適化を実現でき、倉庫業務に必要な人時削減に貢献できる見込み(※3)。

今後は、ロジスティクスセンター全44拠点で蓄積されたデータを活用することで、データに基づく人員・雇用計画の立案精度向上とさらなる現場業務の負荷軽減を目指すことにより、物流全体の運営効率向上に大きく貢献していくとしている。

花王のロジスティクスセンターでの導入の様子

●シフト最適化ソリューション「CYTIS Shift for Logistics」の特長

①倉庫における業務量を平準化し、生産性を向上
計画された入出荷物量の予測データをもとに、作業の生産性から最適な人員を、IEの知見を活かして算出する。さらに順序性や人数等の業務的な制約事項を反映させ、自動調整を行うことで、過剰なバッファを持つことなく、効率的に平準化された人数で作業を実施できるように人員計画を最適化する。

倉庫における業務量を平準化し、生産性を向上

<想定の効果>
100人規模の倉庫で省人化を前提とした人数を基に試算した結果、倉庫全体の人時において1日あたり最大70時間(実証実験結果より試算)の削減が可能であることが判明した。人員を最適化し、業務量を平準化することで、業務負荷を軽減し、効率的な倉庫運営を実現することで倉庫全体の生産性向上が期待される。

②従業員の多様な勤務条件を考慮したシフトを自動作成し、工数を削減
各従業員の出勤可能日(時間・曜日)、希望休暇日、雇用区分等の勤務条件や作業可能な業務、作業の熟練レベル等の保有スキルを考慮し、条件を満たす最適な人員配置・勤務シフトを自動作成する。人手に頼っていたシフト作成を自動化できるため、計画の工数を削減する。

従業員の多様な勤務条件を考慮したシフトを自動作成し、工数を削減

<想定の効果>
1チーム(30名)当たりの勤務・シフト作成時間を試算した結果、従来1日かかっていたところを7時間に短縮でき、シフト作成時間を約70%(小売業における実績)削減が可能であることが判明した。従来、PC手入力等によって作成していたシフト計画を自動化することにより、シフト作成者のノウハウに依存することなく、簡単に作成できる。

●今後の展開
今回提供開始したシフト最適化ソリューション「CYTIS Shift for Logistics」は、顧客の作業を可視化させ、倉庫業務を標準化し、倉庫内の人員計画とタスク管理の最適化という課題の解決を図るもの。

物流領域におけるソリューションマップ-人員計画

今後は、さらに可視化、標準化、最適化という改善サイクルを支えるソリューションのラインアップ拡充を進め、自律的な倉庫現場とサステナブルなサプライチェーンの実現を目指していくとしている。

可視化、標準化、最適化の改善サイクル

●シフト最適化ソリューション「CYTIS Shift for Logistics」
https://connect.panasonic.com/jp-ja/products-services/cytis/cytis-shift-logistics

※1:業務に携わる従業員の誰もが同じ成果を出せるように、業務フローを整え、設定したルールに沿って最適な業務手順(=標準手順)を定め、その業務手順を徹底して実行できる環境を構築すること。
※2:ものづくりの分野において、生産や事務作業の計画や仕組みを科学的・論理的に構築し、業務の効率化を図る工程管理技術の1つ。同社ではこれを製造、物流、流通分野に適用。
https://connect.panasonic.com/jp-ja/products-services/cytis/industrial-engineering
※3:導入にあたり実証を行ったところ、約10人規模のエリア作業員に対し、約11~18%の人時を削減できる見通し。(実証期間:2022年10月~2023年1月)