サトーホールディングス㈱(サトーHD)は9月27日、ノーコードでアプリケーション作成とSaaS、DBデータ連携を可能とする次世代クラウドプラットフォームの独自開発を本格始動すると発表した。それに伴い、スウェーデンのMobileLogic Sweden ABへの出資を決定した。

●ノーコードで業務アプリが作成できる次世代クラウドについて
サトーHDが2010年から提供中であるオンプレミスのAEP(Application Enabled Printing)は、顧客ごとの運用環境に合わせてラベル発行をカスタマイズするソフトウェア。これにより、プリンタは印字データを外部から受信し印字実行するだけでなく、PC不要の独立端末としても機能する。AEPにより周辺機器(例:バーコードリーダ、計量器、温度計、PLC)と直接接続し、プリンタ内部で情報をラベル印字用に処理できる。同社はこのAEPをノーコードで業務アプリ作成ができるクラウドプラットフォームとして新たに開発することで拡張性を高めたほか、データ連携機能を提供することで、顧客の運用ニーズに迅速かつ効率的な対応の実現を目指すとしている。

次世代クラウドプラットフォームのイメージ

●次世代クラウドプラットフォームによる成長戦略
サトーHDは現在、既存事業の革新と新規事業創出に注力している。2024年3月に公表した新中期経営計画においても、コアビジネスの増強と、自動認識ソリューションの高度化による新たな収益基盤の確立を方針として掲げている。本件はその一環であり、海外市場における成長戦略として実行する。

世界的にも企業経営において、クラウドファーストのIT戦略を取りクラウドベースのテクノロジーを優先的に検討する企業が増加傾向にある。同社の商品およびソリューションにおいてもクラウド対応を拡充することで、顧客のIT環境の変化にも柔軟に対応する。ERP(※1)、WMS(※2)、MES(※3)など上位システムへのデータ連携のアプリケーションを、ノーコード・ローコードプラットフォーム上で短期間に開発・導入を可能とすることで、グローバル市場における競争力を強化する。

同社はクラウドプラットフォーム開発の本格始動により、ハードウェア、ソフトウェア、サプライ(タグ・ラベル・リストバンド等)、保守サービスを自由に組み合わせたサブスクモデルの開発や、データマネジメント事業の創出も視野に入れ、サトー欧州およびグローバルでの事業成長を加速する。

●MobileLogic社について
MobileLogic社は、世界最大規模の消費財メーカーや、スウェーデン最大手のカーディーラーを顧客に持ち、提供しているクラウド基盤は北欧企業およびグローバル企業の北欧拠点に浸透している。サトーHDとも複数の案件実績があり、欧州拠点の子会社とコンスタントなビジネス連携を行っている。

今回のクラウドプラットフォーム開発はMobileLogic社のコーディングレス・クラウド基盤であるLogicCenterを活用し、顧客向けのアプリ・機能・クラウドデータ管理・上位システムとのAPI連携等を実現する。サトーHDのグローバルなクラウド運用とデータ活用の共通基盤となる予定としている。

※1:業務データの一元管理を行う統合基幹業務システム(Enterprise Resource Planning)の略称。

※2:資材や商品の入出庫や在庫管理等を行う倉庫管理システム(Warehouse Management System)の略称。

※3:製造工程の管理、作業指示、可視化等を行う製造実行システム(Manufacturing Execution System)の略称。