シャープ㈱は9月2日、国立大学法人東北大学と共同で、量子コンピューティング技術(※1)の一種である量子アニーリング(※2)を応用し、1,000台規模の自動搬送ロボットを同時制御可能なエンジンの開発に成功したと発表した。

量子アニーリングを応用し、1,000台規模の自動搬送ロボットを同時制御可能なエンジンを開発

両者は物流業界で深刻化する人手不足の解決をテーマに、自動搬送ロボットの多台数同時制御技術に関する共同研究に、昨年来取り組んできた(※3)。今回、量子アニーリングの計算方法を、汎用コンピュータ上で疑似的に再現するシミュレーテッド量子アニーリング(SQA※4)技術の活用により、従来は計算量が膨大で実現が困難だった1,000台規模の自動搬送ロボットの最適経路を生成する計算エンジンの開発に成功した。

また、両者は同エンジンにAIを組み合わせた、大規模物流倉庫向けアプリケーションの研究も開始。AIを用いて商品の需要予測から入出庫管理、商品・作業者配置までを最適化することで、入出庫フロー全体の生産性を向上するソリューションの開発に取り組む。2026年度中に性能評価や実証実験を行い、2027年度内の実用化を目指すとしている。

なお、同エンジンのさらなる高性能化、およびアプリケーションの開発に関する研究は、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「量子・古典ハイブリッド技術のサイバー・フィジカル開発事業※5」に採択されました。

9月17日~18日に東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催する技術展示イベント「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」で、「次世代SQAロボットストレージシステム」として同エンジンを活用したソリューションを参考出展する。

●「SHARP Tech-Day’24」特設サイト
https://corporate.jp.sharp/techday/

※1:物質の最小単位である量子の動作を利用し、汎用コンピュータでは膨大な時間を要する計算を瞬時に処理可能な技術。

※2:量子コンピューティング技術により、膨大な選択肢から最適解を選び出す「組み合わせ最適化問題」を汎用コンピュータと比較して超高速で処理可能な計算技術。

※3:詳細は2023年12月19日発表ニュースリリース参照(https://corporate.jp.sharp/news/231219-a.html

※4:Simulated Quantum Annealingの略。

※5:事業期間:2023年度~2027年度。