㈱寺岡精工は3月21日、小型トレーシーラー、自動計量値付機、センターシステムを用いたソリューションで、「盛付工程全自動化統合ロボットシステム構築プロジェクト」に参画し、同日に開催した経済産業省・農林水産省等による「令和5年度 ロボフレ事業報告会」における成果発表会に参加すると発表した。

惣菜盛付工程におけるロボットフレンドリー(※1)な環境構築を目指す同プロジェクトでは、同社は小型トレーシーラー(MAP(※2)包装機)「CIGNO(チーニョ)」、高速自動計量値付機「HI-700」で包装・計量・値付け工程を担い、ラインの自動化・惣菜の不定貫化を実現している。

「マックスバリュ東海」で稼働する小型トレーシーラー「CIGNO」

●「盛付工程全自動化統合ロボットシステム構築プロジェクト」概要
2023年度の経済産業省「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」および、農林水産省「生産工程高度化推進委託事業」に採択されたプロジェクトの1つで、中小企業を含むあらゆる惣菜メーカーが安価にロボットシステムを導入し、盛付工程を自動化するためのロボットフレンドリーな環境実現を目指すもの。

アームロボットを用いた惣菜盛付、MAP包装、計量、値付けの工程を、ベンダー・協力企業であるコネクテッドロボティクス㈱とリスパック㈱と同社の3社でライン構築。今年2月6日には、ユーザー企業であるマックスバリュ東海㈱の長泉PC(静岡県長泉町)に和惣菜の自動盛付ラインを導入した。

寺岡精工は惣菜盛付ロボット以降のライン構築で、MAP包装(トップシール包装、※3)を行う小型トレーシーラー「CIGNO」、後続の計量・ラベル印字・貼付けを行う高速自動計量値付機「HI-700」を提供。「HI-700」への生産指示/実績・各種マスタはクラウド化した寺岡精工のプロセスセンターシステム「PCS-Cloud」で管理している。

従来の惣菜商品は、パック当たりの量と価格が決められた定貫商品が一般的だが、ロボットでの自動盛付作業における重量差を考慮して、盛付量を計量して個別に価格を出す不定貫化によってロボフレを実現。「HI-700」は、コンベヤ上を流れる商品を自動で計量し、重さに応じた値付けを行うため、ロボット盛付惣菜の不定貫化を実現できたとしている。

また、小型トレーシーラー「CIGNO」により、ロボフレに必要とされる容器の統一化や、消費期限の延長を達成している。「CIGNO」は機長約1.6mとコンパクトな設計ながら、残存酸素1%以下の高精度なMAP包装が可能で、商品の消費期限延長とそれに伴う生産・配送の効率化に貢献するほか、機械動作には電気制御を多く採用しており、コンプレッサや真空ポンプ等の付帯設備が不要。スペース面だけでなく初期投資を抑えるという点でも、中小の惣菜工場を含むあらゆる現場での導入を容易にするとしている。

●「CIGNO」
https://www.teraokaseiko.com/jp/products/PRD00466/

●「令和5年度 ロボフレ事業報告会 ~世界初!惣菜盛付工程の全ロボット化、高速社会実装~」概要
日時:2024年3月21日(木) 13:00~15:00
場所:経済産業省 講堂
主催:経済産業省・(一社)日本ロボット工業会 /共催:(一社)日本惣菜協会
参加者:経済産業省・農林水産省・(一社)日本惣菜協会・開発企業及びユーザー企業

※1:ロボットを活用しやすい周辺環境の整備と受容。略称:ロボフレ。
※2:ガス置換包装(Modified Atmosphere Packaging)。パッケージ内の空気を食品の保存に適したガスに置換して包装する技術で、賞味期限の延長が可能。
※3:トレー上淵にフィルムを溶着し、密封する包装形態。プラスチックの蓋と比べてプラ使用量も削減。