アスクル㈱と㈱ギークプラスは12月15日、12月21日よりASKUL Value Center 関西(AVC 関西)に、㈱ギークプラスの新製品「PopPick」を導入したと発表した。

今回、ギークはPopPick用自動搬送ロボット(AGV)としては国内最多採用台数の318台を納入。段階的な導入計画に基づき、うち246台が12月21日に稼働を開始する。それにより効率的な入出荷を実現し、第2期として2024年春に72台の稼働を開始する予定。

PopPickは新しいGTP(※1)ソリューション設備で、在庫商品の入った折り畳みコンテナを収納した棚をPopPickステーションまで搬送し、作業員はPopPickステーションが自動で搬送するコンテナ商品ピッキング作業を定点で行うもの。従来のGTPソリューションと比較して、同面積あたりの商品保管効率が高く、より多くの商品アイテム数を在庫可能とするため、アスクルが中期経営計画の重要施策としている品揃え拡大に対応する目的で導入した。

※1:Goods To Personの略。ピッキングを担当する作業員のいる場所まで直接荷物を搬送するロボットのこと。

●自動搬送システム「PopPick」の概要
PopPickは、ギークプラス社の新製品で、物流センター内における注文された商品を注文ごとに集品する「ピッキング作業」の工程に向けたソリューション設備。在庫商品は、折り畳みコンテナを高さ約3.8m、縦に10段積んだ棚に高密度に保管されている。受注データを受信するとロボットがPopPickステーションと呼ばれる作業員の定点作業位置まで棚を搬送。次に、PopPickステーションは出荷する商品の入ったコンテナを棚から取り出し作業員の手元まで自動搬送する。最後に、作業員が手元に届いたコンテナから必要個数を出荷コンテナにとりわける作業のみを定点で行う。

アスクルでは、物流センター内で作業員が注文のあった商品を注文ごとに集品する「ピッキング作業」においてこれまでも、完全無人のピッキングロボットから協業型のAMR(※2)、作業員を定点固定するGTPまで、様々なロボットを導入してきた。いずれも従来、人が商品棚まで足を運び保管・ピッキングしていた工程をロボットが代替し、作業員の歩行負荷を減らし、作業効率を高めるソリューションだが、今回導入のPopPickは他のロボットソリューションと大きく異なる特徴は以下の通り。

●PopPickの特徴
①防火シャッター下の高さいっぱいまで商品コンテナを棚に積載可能な点

AVC関西の床面から庫内防火シャッター下までの高さ4mに対し、最大限の高さである約3.8mの棚を導入し、10段のコンテナを積載が可能。棚の中のコンテナ同士も2cmの間隔で配置され、棚と棚の間にも人の歩行のための通路がないため、高密度に大量の商品を保管できる。

②作業員が棚から商品を手作業で取り出さず、PopPickステーションが自動で行う点

従来の棚搬送型GTPソリューションは、作業員が棚から商品を取り出す作業は手作業なのに対して、PopPickではステーション自体が対象のコンテナを自動で取り出し作業員の手元に届ける。

③受注データ等に基づき今後の注文を予想し、非稼働時に「注文頻度の高い商品」の入ったコンテナ同士を別々の棚から同じ棚に自動で集約する点

受注データ等を基に今後の注文を予想し、非稼働時間を利用して別々の棚に配置されている商品を注文頻度別に同じ棚内に集約する。それにより、棚の搬送回数が少なくなり、タイムロスの少ないより効率の良い搬送を実現。

今回の導入により、商品が大量保管できるためロングテール品の品揃え拡大が可能になり、保管効率は約2倍(※3)を見込んでいる。さらに、定点でのピッキングや非稼働時の自己学習により、生産性は約3.8倍(※3)向上する見通し。また、今回の導入は商品の品揃え拡大への対応だけでなく、アスクル物流における自動化・DXを一歩飛躍させるものと位置づけている。

なお、アスクルの物流拠点では、ギークプラス社の製品としては2019年からAVC関西にパレット搬送用ロボットとしてAGV(※4)(ギークプラス社製「EVE M1000R」)が稼働しているほか、2021年よりASKUL三芳センターに自動棚搬送ロボットとして「EVE P800R(AGV)」が導入され稼働している。

※2:Autonomous Mobile Robotの略。自律走行型協働搬送ロボットのこと。

※3:庫内のピッキング工程における、従来の手作業ピッキングとの比較。

※4:Automatic Guided Vehicleの略。自動搬送ロボットのこと。