富士通㈱は12月14日より、サステナブルな世界の実現を目指す「Fujitsu Uvance」のもと、地球環境に配慮しつつ、人々の生活を守り、より豊かにしていくため、デジタルシミュレーションの活用により持続可能な地域社会を実現する「Trusted Society」の取り組みの1つとして、クラウド型のロジスティクスデータ変換・可視化サービス「Logistics Global Link(ロジスティクスグローバルリンク)」を日本国内で販売開始した。

同サービスは2023年2月に国土交通省と経済産業省、および内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」が公開した「物流情報標準ガイドライン(※1)」に準拠して、ロジスティクスに関わる在庫や輸配送等の幅広いデータを変換・標準化した上で、同社の戦略パートナーであるアマゾンウェブサービス(AWS)のクラウド上に蓄積する。それにより、企業内はもとより同業種の企業間やサプライチェーンを構成する異業種間においても安全で容易にデータ共有を可能とし、入出荷作業や車両待機の時間を大幅に削減することで、物流業界における2024年問題の解決に貢献するほか、グローバル調達や供給においても、速やかなデータ変換機能によりスムーズな取引が可能としている。

今後同社は様々なサプライチェーンにおける荷主企業や物流事業者、およびシステムベンダーと連携し、ロジスティクスデータの利活用によって社会課題を解決し、事業継続性を強化するロジスティクス分野のデジタルエコシステムの実現を目指すとしている。

サービス概念図

物流業界における2024年問題と言われる大きな社会課題として、2024年4月より施行されるトラックドライバーへの法的な労働時間の規制がある。その結果、「何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性(※2)」が推計されており、荷主企業は従来の契約条件では荷物を運んでもらえず、事業継続が困難になる可能性がある。また、物流事業者においても、ドライバーの労働時間の規制強化により、運べる荷物量が限定され、荷主企業と同様に今までの収益確保が困難となる課題がある。その課題を解決するため、ドライバーや車両といったリソースの社会共有と利活用によるシェアリング推進が必要となり、経済産業省では2040年を目標に、物流のあるべき将来像として「フィジカルインターネット・ロードマップ」で、このシェアリング社会を実現しようとしているほか、国土交通省と経済産業省、および内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」事業の成果として、「物流情報標準ガイドライン」を公開し、フィジカルインターネットを推進している。さらに、海外でも同様にトラックドライバー不足の解決が急務とされており、ロジスティクスデータの標準化が求められている。

国の政策意図を踏まえ、同社はファーストステップとして、ロジスティクスデータの標準化を推進し、サプライチェーンの効率化に寄与するクラウド型サービス「Logistics Global Link」を開発し、国内から提供していく。

※1:「物流標準ガイドライン」:
2018年から5年間にわたる内閣府による国家プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)スマート物流サービス」研究開発から作成された国内標準規格
https://www.lisc.or.jp/

※2:何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性:
(出典)内閣官房「物流革新に向けた政策パッケージ」(令和5年6月2日我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議決定)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/seisaku_package.pdf