三菱重工業㈱と三菱重工グループの三菱ロジスネクスト㈱は12月8日、三菱重工が研究開発を進める「ΣSynX(シグマシンクス)」(※1)によって飲料倉庫のピッキング作業を自動化・知能化する自動ピッキングソリューション(※2)を、キリングループのキリンビバレッジ㈱ならびにキリングループロジスティクス㈱から初めて受注したと発表した。

キリングループロジスティクス東日本支社湘南支店が管轄する海老名物流センター(神奈川県海老名市)に導入した後、2024年12月に本格稼働を開始する予定。

キリングループロジスティクス東日本支社湘南支店海老名物流センター外観

同ソリューションは、ピッキング工程にAGF(Automated Guided Forklift:無人フォークリフト)、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)、パレタイザ(※3)を活用して作業を自動化する国内初のソリューション。これまで作業者自身が効率化を考えながら行っていたピッキング作業を、三菱重工グループが開発したΣSynXによって自動化・知能化したもの。独自開発の最適化エンジンや統合制御システムによって、複数のAGF、AGV、パレタイザを効率的に連携させて搬送・ピッキング回数を削減、ピッキング工程の最適化とスループット(処理能力)向上を実現している。

三菱重工グループとキリングループは、物流オペレーターにとって負荷の高い荷役作業が求められる飲料倉庫に三菱重工グループの自動ピッキングソリューションを導入することを目的に、2022年11月から共同実証を開始した(※4)。三菱重工が横浜・本牧で運営するものづくりの共創空間「Yokohama Hardtech Hub(YHH)」内の実証施設「LogiQ X Lab(ロジックス・ラボ)」において、自動ピッキングシステムの運用プロセスが確立でき、物流現場への実効性が検証されたことから今回の受注に至った。今後は自動ピッキングソリューションのさらなる進化に向けた検証を続けるほか、働き方改革関連法により生じる2024年問題の課題解決に共に取り組んでいくとしている。

LogiQ X Lab での共同実証の様子
LogiQ X Lab での共同実証の様子

飲料倉庫の物流現場では有人フォークリフトや作業者による手作業が中心となっており、物流オペレーター不足や重量物ピッキング、夜間作業への対策といった労働環境の改善が課題となっている。三菱重工グループは、今回導入が決まった自動ピッキングソリューションに加え、自動入出庫ソリューションやトラックへの入出荷に対しても、ΣSynX搭載新型無人フォークリフト「AGF-X」をはじめとする様々なソリューションの開発を進めている。これらのソリューション開発、物流現場への導入を通じ、飲料業界が直面する様々な課題の解決に貢献していくとしている。

最適化による賢いピッキングの例

※1:様々な機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームで、機械システムの知能化により最適運用を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの。

※2:三菱重工グループが開発を完了した自動ピッキングソリューションの詳細 https://www.mhi.com/jp/news/22083102.html

※3:飲料ケース等の製品を自動で整列させてパレット上に積み付ける装置。

※4:キリングループとの自動ピッキングソリューションの共同実証開始について https://www.mhi.com/jp/news/22112101.html