大日本印刷株式会社(DNP)は8月2日、宅配・通信販売・物流の事業者等に提供してきた「ラベル伝票」について製造工程で有機溶剤を使わない剥離紙に切り替えることにより、CO2排出量を削減する環境配慮型の「ラベル伝票」を開発し、提供を開始すると発表した。
宅配便には荷物の送り先等の情報を記載した伝票が貼付されているが、令和3年(2021)度の宅配便取扱個数は49億5323万個で前年度と比較して約2.4%増加し(※1)、荷物に貼付する送り状の「ラベル伝票」の数量も増加している。DNPはその「ラベル伝票」について環境配慮型製品への切り替えを進めることにより、2025年時点で年間700トン以上のCO2排出量の削減を見込んでいる。
※1:令和3年(2021)度宅配便取扱実績(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000255.html
デジタルネットワークの進展とスマートフォン等の情報端末の普及に加え、コロナ禍での外出制限等もあり、オンラインショッピングの利用が広がっている。配送量が増えるにつれて荷物に貼付する送り状の「ラベル伝票」も増加しているが、従来は剥離紙の製造工程で有機溶剤が使われており、剥離紙の製造時に揮発した有機溶剤を回収して燃焼処理する工程でCO2が排出されていたとしている。
●概要と特長
・製造工程で有機溶剤を使わない剥離紙に切り替えることにより、CO2排出量を削減する。
・「ラベル伝票」のように異なる用紙を複数の層に重ねて貼り合わせる製品は、一般的に反りや歪みが発生しやすいという課題があった。その課題に対して今回、材料構成や工程を工夫することにより、従来品と同等の品質で「ラベル伝票」を製造できるようになった。
DNPは常に事業活動と地球環境の共生を考え、環境問題への対応を重要な経営課題の1つに位置付けており、2020年3月には「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させている。特に「脱炭素社会」の実現に向けては2050年度までに自社拠点での事業活動に伴うCO2等の温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする目標を掲げるほか、製品・サービスを通じたGHG排出量の削減を進めている。今後、DNPグループで製造する大半の「ラベル伝票」を環境配慮型に切り替えていく予定のほか、「ラベル伝票」以外の製品でも環境配慮型の製品への切り替えを検討していくとしている。