三菱重工業㈱(三菱重工)と同社グループの三菱ロジスネクスト㈱は11月21日、キリングループのキリンビバレッジ㈱ならびにキリングループロジスティクス㈱と、飲料倉庫への自動ピッキングソリューション導入に関する共同実証を11月から開始すると発表した。

三菱重工グループが開発した自動ピッキングソリューション(※1)を、物流オペレーターにとって負荷の重い荷役作業が求められる飲料倉庫へ導入することを目的に、三菱重工が横浜・本牧で運営するものづくりの共創空間「Yokohama Hardtech Hub(YHH)」内の実証施設「LogiQ X Lab(ロジックス・ラボ)」で、自動ピッキングシステムの運用プロセス確立および検証等を行う。共同実証は2023年6月末までに完了する予定。

三菱重工グループの自動ピッキングソリューションは、これまで作業者自身が効率化を考えながら行っていたピッキング作業を、三菱重工が研究開発を進める「ΣSynX(シグマシンクス)」(※2)によって自動化・知能化したもの。独自開発の最適化エンジンや統合制御システムによって、複数のAGF(Automated Guided Forklift:無人フォークリフト)、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)、パレタイザ(※3)を効率的に連携させて搬送・ピッキング回数を削減、ピッキング工程の最適化とスループット(処理能力)向上を実現する。

キリングループでは、工場の自動化が進められている一方で、倉庫の物流は有人フォークリフトや作業者による手作業が中心となっており、物流オペレーター不足や重量物ピッキングへの対策といった労働環境の改善が課題となっている。

今回の実証では、キリンビバレッジの倉庫オペレーション条件下で、AGF、AGV、パレタイザを連動させるほか、ΣSynXによる最適化制御の検証を実施し、安全に配慮した倉庫物流現場の課題解決を目指すとしている。

三菱重工グループは、本実証を通したキリングループとの連携により、飲料業界が抱える様々な物流課題の解決に取り組んでいくとしている。

※1:三菱重工グループが開発を完了した自動ピッキングソリューションの詳細
https://www.mhi.com/jp/news/22083102.html

※2:様々な機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームで、機械システムの知能化により最適運用を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの。

※3:飲料ケース等の製品を自動で整列させてパレット上に積み付ける装置。

キリンビバレッジの主な商品
YHH内実証施設「LogiQ X Lab」

●共同実証概要
期間:2022年11月~2023年6月
実施場所:三菱重工Yokohama Hardtech Hub(YHH)内実証施設「LogiQ X Lab」(神奈川県横浜市)
実施内容
・キリンビバレッジの倉庫オペレーション条件下での自動ピッキングソリューション検証
・キリンビバレッジ倉庫の自動化範囲と人的作業範囲の最適化検討、運用プロセス確立
・ キリンビバレッジ倉庫向け設備・システム仕様の検討
■自動ピッキングソリューションの主な特長
・AGFを核とした自動ピッキングシステム
 AGFが保管棚からAGV、パレタイザに対して補充品を供給し、ピッキング後の完成品をAGV、AGFで回収、保管棚まで搬送する一連の作業をシステム化する。
・導入前の物流シミュレーションにより最適な機器構成を検討
 キリンビバレッジ飲料倉庫のピッキング実績データを基に、システム導入前の物流シミュレーションを行い、最適な機器構成、レイアウトを検討する。
・最適な機器連携を実現
 三菱重工製の統合制御システムにより効率的にAGF、AGV、パレタイザを連携。また、最適化ロジックを採用することにより、最小限のパレタイズ回数で要求に応える。

●自動ピッキングフロー