㈱エスイー、NECネクサソリューションズ㈱、㈱サトーは11月10日、RFIDを用いて地滑りの防止や地盤補強のための製品「グラウンドアンカー」(※)を個品単位で管理するシステムを構築したと発表した。

「グラウンドアンカー」をRFIDで個品管理

効率的で精度の高い管理によって、製品の品質レベルを維持し、災害時等の早期復旧やインフラ強靭化に貢献する。

自然災害が多発している昨今、インフラ保全の高度化・効率化が求められている。地中で引張力を作用させ、地滑りを防止する「グラウンドアンカー」は、インフラを支える重要製品の1つとして、多くの建設現場で使用されているが、地中に埋められ、雨にさらされる設置環境では、バーコード等を物理的に貼り付け、個品単位で管理することが困難だった。

温度変化や降雨等の影響により、製品の引張力は変動するため、その変化を定期的に確認・記録することは、補強対象物の安定性を正しく評価する上でも必要になる。

そこで、RFIDタグをグラウンドアンカーに取り付け、製品番号をもとに、製造・施工・メンテナンス履歴の情報をクラウドサーバーで一元管理するシステムを構築した。

個品単位でメンテナンス情報が分かるので、補強対象物の安定性を精緻に評価できるようになり、より確実な保全計画が実施できるようになる。また、災害発生時には、点検履歴と照合し、影響を受けた製品の問題を正しく把握することで、迅速な復旧計画の立案に役立てられる。

RFIDは特殊なタグを開発し、一般にRFIDが苦手とする金属・液体で構成されているグラウンドアンカーに取り付けても、非接触で高い読み取りを実現した。

これまで台帳へ手書きしていた記録作業は、タグを読み取り端末を操作するだけの運用となり、現場作業員の負荷も低減される。

グラウンドアンカーの施工をエスイー、情報管理を行うプラットフォーム構築をNECネクサソリューションズ、特殊RFIDタグの開発・製造をサトーが担当。2021年11月よりRFID付きグラウンドアンカーの出荷を開始し、1万本超の納入実績がある(2022年10月現在)。

なお、今回のシステムは(一社)日本自動認識システム協会が主催する「第24回自動認識システム大賞」で「産経新聞社賞」を受賞した。

※エスイーはRFID付きのグラウンドアンカーの特許を取得している。

●システム概要
①シリアル番号等、製品の情報が登録されたRFIDタグをグラウンドアンカーに取り付け、出荷。出荷情報をクラウド上のシステム「intra-mart」にも登録。
②グラウンドアンカー施工時、シリアル番号と設置情報(引張荷重等)をひも付け、システムに登録。
③検査・点検時に、地中のグラウンドアンカーの状態(経年変化した引張荷重等)の情報を定期的に更新。作業は、RFIDを読み取り、端末を操作することでシステムに履歴が登録される。
④システムを通して情報閲覧はいつでも行うことができる。

システム全体像

●グラウンドアンカーの構成

金属製のアンカーキャップと、防錆材グリース(液体)に覆われた環境下において、技術的な工夫により、アンカーキャップの外側からでも、非接触でRFIDを読み取ることを実現。