㈱ゼンリンと秋田県横手市は9月6日から11月中旬までの期間、横手市で「地域まるごと Smart Terrace Store」の実証実験を実施する。

同実験では、地域住民の小売店までの物理的な距離を短縮するコミュニティストア「Smart Terrace Store(STS)」や「ドローン」等の最新技術を活用することで、横手市に新たな食料品アクセス手段を提供し、食料品アクセス問題の改善を目指す。

なお、同実験は農林水産省が公募した「新技術の活用等による食料品アクセス問題への取組支援事業」として実施するもの。

「Smart Terrace Store」実証実験の流れ

同市では現在、食料品アクセス困難人口の割合が32%、75歳以上の場合は44%となっており、食料品アクセス問題の改善が課題となっているほか、横手市における交通手段の85%は自家用車であり、免許返納した高齢者の食料品アクセス手段が失われる可能性が危惧されている。

同実験では、地域のコミュニティストアSTSを適切な場所に設置し、地域住民の小売店までの物理的な距離を短縮することにより、食料品アクセスの向上を図る。また、STSの設置が難しい地域の住民へは、新技術「ドローン」を活用した食料品配送を実施することによる、食料品アクセス手段の提供を目指す、としている。

ゼンリンと横手市は今回の実証結果をもとに、将来的な実用に向けた協議を進めていく、としている。

●実証概要①「Smart Terrace Store」
小売店までの物理的な距離を短縮することによる食料品アクセス問題の改善を目指し、STSの実証を実施する。ゼンリンの地図情報と人口分布や地理特性、交通ネットワーク等の情報をかけ合わせ、食料品アクセス向上に最適と判断した箇所にSTSを設置する。

注文システムの操作画面
第1回STS実証の実施場所「狙半内地域センター」

◎Smart Terrace Store概要
①STSに来店した住民は、設置された注文システムから購入したい商品を選択。
②注文された商品情報は地域のスーパーへ送信され、配送用に梱包。
③梱包された商品は翌日までに集荷され、各地域の STS へと配送される。
④住民はSTSにて注文した商品を受け取り、セルフレジにて代金を支払う。
また、STSには地域住民での歓談が可能なテラスが設置されており、地域コミュニティ醸成の場としても利用可能としている。

◎実証期間
【1回目実証】
期間:2022年9月6日~9月17日
STS設置場所:狙半内地域センター(秋田県横手市増田町狙半内字七曲下101)
協力:Super Mall Lucky(秋田県横手市十文字町仁井田字東22-1/運営企業:㈱マルシメ)

【2回目実証】
期間:2022年11月上旬~11月中旬(予定)
STS設置場所:狙半内地域センター/十文字西地区館(秋田県横手市十文字町植田字一ト市 330)
協力:Super Mall Lucky / スーパーセンターTRUST 雄物川店(秋田県横手市雄物川町造山字社ノ前 103/運営企業:㈱日敷)

●実証概要② 「ドローンを活用した食料品配送」
STSまでの移動が困難な住民に向け、ドローンを活用した食料品配送の実証実験を実施する。同実験では、河川上空を空の道として整備し、注文から受け取りまでの一連の流れを実証することで、実運用で想定されるドローン配送の課題検証を行う。

◎実証期間
期間:2022年10月25日~10月28日(予定)
実証場所:(離陸)雄物川河川公園
実証場所:(着陸)二井山地区農村集落多目的共同施設
協力スーパー:スーパーセンターTRUST 雄物川店
ドローン配送:㈱ゼンリン

●実証実験実施体制(各者の役割)
ゼンリン:提案主/ビジネスモデル検討/STS の立地分析・計画、STSの制作検討/物流ドローンの運用
横手市:実証フィールドの調整/地元・関係機関調整支援他
国分グループ本社㈱:実証実験協力/スーパーからSTSへの食料品配送スキーム構築
国分東北㈱:実証実験協力/スーパーからSTSへの食料品配送スキーム構築
㈱マルシメ:実証実験協力/STSへの食料品提供
㈱日敷:実証実験協力/STS への食料品提供

約6kmの長距離飛行を想定