富士通㈱は9月1日、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現に向けて既存情報システムを抜本的に見直し、最新化する「モダナイゼーションサービス」を強化すると発表した。
現行の顧客資産(業務プロセス、データ、アプリケーション、IT基盤)を可視化し、DX基盤としてのあるべき姿をデザインした上で、スリム化やモダナイゼーションを支援する。併せて、モダナイゼーションに欠かせない技術情報やノウハウ、知見を集約するセンター・オブ・エクセレンス(CoE)として、「モダナイゼーションナレッジセンター」を9月1日に新設。同センターは2022年9月より日本国内でのサポートを開始し、欧州、北米をはじめグローバルでのサポートを順次開始した。「モダナイゼーションサービス」やスペシャリストによる対応、最先端のテクノロジーを結集し、顧客がモダナイゼーションを推進できるよう強力に支援する、としている。
また、同社はメインフレーム、UNIXサーバの販売終息、保守終了時期(※1)について、2022年2月に発表。メインフレームやUNIXサーバを利用する顧客がモダナイゼーションを推進できるように、「モダナイゼーションサービス」やスペシャリストによる対応、コンピューティング・ネットワーク・AI・データ&セキュリティ・コンバージングテクノロジー等、同社のキーテクノロジーを結集し、支援する。「モダナイゼーションサービス」を適用する顧客数は3,000社を予定しており、デリバリー機能を実践する人材を2025年度までに同社のグローバルデリバリーセンターを含めて3万5,000人規模に拡大することを明らかにした。
●「モダナイゼーションサービス」の強化
同社は「モダナイゼーションサービス」を、(1)業務・資産可視化、(2)グランドデザイン、(3)情報システム全体のスリム化、(4)モダナイズの4つのステップに分け、顧客自身でモダナイゼーションを実施する場合、モダナイゼーションに関する技術支援も実施する。
(1)業務・資産可視化
各種プロセスマイニングツール(「Celonis EMS」(※2)や「SAPR Signavio」(※3)等)を活用した業務プロセスの可視化、マスターデータの棚卸し・データアナリティクスによるデータの可視化、アプリケーションの可視化を実施。アプリケーションの可視化においては、同社のソフトウェア地図(※4)によるアプリケーションの構造分析、稼働資産分析、類似分析、資産特性分析、システム相関分析を実施する。
(2)グランドデザイン
Ridgelinez㈱(※5)およびコンサルティングパートナーと連携し、EA(エンタープライズアーキテクチャ)(※6)に関する手法の1つであるThe TOGAFR Standard(※7)等により、グランドデザインを作成する。
(3)情報システム全体のスリム化
情報システム資産の中には、ほとんど使われていないにも関わらず、維持・稼働しているものがある。可視化を通じて、稼働システム内の資産をスリム化する。
(4)モダナイズ
顧客資産における個別情報システムに応じて、各種ツール(「PROGRESSION」(※8)等)によるリライト、リホスト、再構築、サービス移行等を適用し、モダナイズする。IT基盤に関しては、「Fujitsu Uvance」の「Hybrid IT」をベースにパブリッククラウドやプライベートクラウドへの移行を支援する。
●「モダナイゼーションナレッジセンター」の新設
モダナイゼーションに関わる社内外の技術情報やノウハウ、知見を集約するCoEとして、「モダナイゼーションナレッジセンター」を9月1日に新設した。業種ごとに社内の各部門で保有している移行実績やベストプラクティス、あるいは有用なツールやサービス、専門パートナーに関する情報などを集約する。同センターは、(1)社内外の知見の収集・整理、(2)情報共有の推進、(3)各種ツールやサービスを提供する専門パートナーとの連携、(4)商談・技術支援、(5)デリバリー実践に基づく知見へのフィードバック、(6)顧客システムのモダナイゼーション実施状況把握の機能を有する。モダナイゼーションに精通したスペシャリストがビジネスプロデューサーやSEをサポートし、密接に連携しながら顧客のモダナイゼーションを支援する。
同センターは、2022年9月より日本国内でのサポートを開始し、欧州、北米をはじめグローバルでのサポートを順次開始する。
※1:メインフレームは2030年度販売終息・2035年度保守終了、UNIXサーバは2029年度販売終息・2034年度保守終了。
※2:「Celonis Execution Management System」は、ドイツのミュンヘンと米国のニューヨークに本社を置くクラウドソフトウェアベンダーであるCelonis SEが提供するプロセスマイニング技術を搭載したソリューションプラットフォーム。
※3:SAP SEが提供するプロセスマネジメントソリューションの製品ブランド名。
※4:業務のための機能や役割を実現している機能コンポーネントを自動発見するマイニング技術と、発見した機能コンポーネントに基づいてアプリケーションの全体像を地図として可視化するツールであり、日本国内で利用可能。
※5:本社 東京都千代田区、代表取締役CEO 今井俊哉。
※6:大企業や政府機関等の資源配置や業務手順、情報システム等の標準化、全体最適化を進め、効率の良い組織を創り出す設計手法。
※7:国際標準化団体「The Open Group」におけるエンタープライズアーキテクチャの方法論とフレームワーク。
※8:Fujitsu North America, Inc.のリライトソリューション。