三菱重工業㈱(三菱重工)と同社グループの三菱ロジスネクスト㈱は8月31日、AGF(Automated Guided Forklift:無人フォークリフト)、AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)、パレタイザ(※1)が連携する自動ピッキングソリューションのシステム開発を完了し、9月1日から三菱重工が倉庫物流の顧客向けに提供を開始すると発表した。

また、三菱重工が横浜・本牧で運営するものづくりの共創空間「Yokohama Hardtech Hub(YHH)」において、同ソリューションの実証施設「LogiQ X Labo(ロジックス・ラボ)」(※2)の稼働を開始した。

10月からは顧客を対象とした同施設の見学をスタートし、倉庫物流の現場における自動化・省人化検討をサポートしていく、としている。

YHHで稼働を開始した実証施設「LogiQ X Labo」

自動ピッキングソリューションは、これまで作業者が考えながら効率的に行っていたピッキング作業を、三菱重工が研究開発を進める「ΣSynX(シグマシンクス)」(※3)によって自動化・知能化したソリューション。独自開発の最適化エンジンや統合制御システムによって、複数のAGF、AGV、パレタイザを効率的に連携させて搬送・ピッキング回数を削減、ピッキング工程の最適化とスループット(処理能力)向上を実現する。

多数の作業者が従事するピッキング作業の自動化・知能化を通じ、昨今の物流オペレーターの人手不足、重量物ピッキングといった重労働からの解放、ヒューマンエラーの削減に貢献する。

また、同ソリューションは、床面工事等の大規模工事を必要としないAGFやAGVを採用していることから、現在主流となりつつあるマルチテナント型物流施設への導入や急な倉庫レイアウト変更にも対応できる。

9月13日から東京都江東区の東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2022」では、自動ピッキングソリューションを構成するAGF、AGVの連携による、補充パレット供給・完成品パレット回収デモンストレーションを三菱ロジスネクストブースで公開する予定。

※1:製品を自動整列させてパレット上に積み付ける装置。
※2:ピッキングをはじめ、入出庫など倉庫内物流の自動化ソリューションを開発・実証する研究施設。「LogiQ X」は、物流を意味する「Logistics」と知能「IQ」、機械システムの同調・協調を意味する「ΣSynx」を組み合わせたもの。
※3:様々な機械システムを同調・協調させる三菱重工の標準プラットフォームで、機械システムの知能化により最適運用を実現するデジタル・テクノロジーを集約したもの。

自動ピッキングソリューション稼働の様子

【主な特長】
(1)AGFを核とした自動ピッキングシステム
AGFが保管棚からAGV、パレタイザに対して補充品を供給し、ピッキング後の完成品をAGV、AGFで回収、保管棚まで搬送する一連の作業をシステム化する。

(2)導入前の物流シミュレーションにより最適な機器構成を提案
顧客のピッキング実績データを基にシステム導入前の物流シミュレーションを行い、顧客のニーズを満足する最適な機器構成、レイアウトを提案する。

(3)最適な機器連携を実現
三菱重工製の統合制御システムにより効率的にAGF、AGV、パレタイザを連携。また、最適化ロジックを採用することにより、最小限のパレタイズ回数で要求に応える。