日本パレットレンタル(株)(JPR)とユーピーアール(株)(upr)は4月14日、両社のレンタルシステムに係る基盤サービス「X-Rental(クロスレンタル)オープンプラットフォーム」の共同開発・運用に合意した。

具体的には、パレットをはじめとする物流機器の循環型運用に必要なサービス基盤の共同開発・運用により、顧客サービスの利便性向上、両社の合同回収等の効率化を図って、物流 DX・ホワイト物流を促進する。

「X-Rental オープンプラットフォーム」では、
①Web ポータルサービス
②サポートセンターサービス
③RTI(リターナブル輸送機器)循環流通サービス
を2023年秋以降に提供開始する予定。今後、両社は共同で「X-Rental運営委員会」を組織し、サービスの開発・提供を行う。

物流業界では、深刻化する人手不足を背景とした「2024 年問題」の解決や、環境負荷の軽減を目的に、従来パレットを使用していなかった企業・業界が、レンタル方式によってパレットを循環利用するケースが増えている。日本パレット協会の統計によれば、レンタルパレット業界全体のパレット保有枚数は2015年から2020年の5年間に20%増加している。国土交通省発表の我が国の総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)においてもパレットの利活用が明記されている。

JPRとuprは、競合企業として互いにレンタルパレットの普及を進めており、物流現場では両社のパレットが同時に取り扱われるシーンが増えてきた。製造業、物流事業者、卸売業・小売業へと連なるサプライチェーンは、多様な企業がオープンに繋がりあっており、両社のパレットの流れが重なり合う物流現場では、2社のパレットをそれぞれ返却する手間や、複数のシステムへ入力する煩雑さが生じてきた。これは、新たにパレット輸送に取り組もうとする企業にとって、導入ハードルの1つとなりうるもの。両社はこうしたハードルを除くことで、レンタルパレットの循環利用の普及を促進し、人手不足による物流危機の回避や、環境負荷低減といった社会の要請に応える構え。

●合意の概要:「X-Rental オープンプラットフォーム」とは

X-Rental オープンプラットフォーム イメージ図

同サービスは、パレットなどリターナブル輸送機器をレンタル提供する企業やシェアリング提供する企業が、それぞれの顧客に提供する右図の機能を共有する基盤。利用者側の立場で考えれば、複数の事業者共通のインターフェースとなる。

●利用者にとっての期待効果
・従来レンタルパレット利用者は、JPR/upr 各社それぞれの Web サービスへログインし、パレット受け払い情報や借入・返却依頼等の入力・確認作業を、それぞれの方法で行う必要があった。同サービス開始により、両社のサービスが1つのプラットフォーム上で共有化され、標準化された管理業務をワンストップで行うことが可能になる。
・従来JPR/upr各社がそれぞれ実施していたパレット運送を合同で行うことで、トラック走行効率化によるCO2排出量の減少、トラック積載率の向上、ならびに各拠点における作業時間短縮等の効果が期待される。
・同プラットフォームの標準化されたAPIが、多くの利用企業が求めている様々なソリューションを実現する。JPR/uprのパレットを利用することが、企業間での物流データの連携や活用に繋がっていく。