(一社)日本物流団体連合会(物流連)は10月22日、東京都千代田区の海運クラブにおいて、第27回「物流連懇談会」を開催した。同懇談会は、物流業界の幅広い会員の参加を得て、会員への情報提供、会員相互の情報交換・交流のために行われている。今回は、日本内航海運組合総連合会 会長・栗林商船㈱ 代表取締役社長の栗林宏吉氏から「内航海運の現状と今後~モーダルシフトを中心に~」と題する講演が行われ、会員企業の代表者や幹部など66名の参加があった。

物流連によると、参加者間の懇談が行われた後、長澤物流連会長から挨拶があり、講演が始まった。講演では、初めに栗林社長の自己紹介の後、栗林商船の会社概要と日本内航海運組合総連合会の沿革・組織についての紹介があった。


次に、内航海運の現状について、事業規模やシェア及び輸送貨物品目、主要品目の輸送量と輸送活動量に関しての分析が示した上で、災害発生時の代替輸送や内航船の種類、乗組員の構成と働き方等について説明した。また、内航海運業界の課題として、船舶の老朽化問題、船員不足の問題、船舶運航費用の高騰を挙げ、それらの解決へ向けて、積極的な広報活動や各種船員確保支援、働き方改革・荷主対話のほか、カーボンニュートラルへの対応、自動運航船の商用運航の実現に向けた取り組みについて詳解した。
続いて、内航海運へのモーダルシフトと題して、輸送を担うRORO船とコンテナ船の紹介、RORO船の主要航路図の案内があり、2024年問題とモーダルシフトの形態、モーダルシフトが環境に与える効果等を様々な指標で披露した。
最後に、栗林商船の取り組みと今後として、同社RORO船サービスの航路、所有するトレーラ、モーダルシフトの事例が具体的に示し、さらに海運モーダルシフトを推進するための物流事業者の受入環境整備と担い手の確保・育成、労働生産性の向上や海陸物流事業者間の協業、小口貨物の対応、フィジカルインターネットの実現の取り組みについて説明した。加えて、荷主の行動変容促進についても言及し、約1時間に及んだ講演を終えた。
講演後の質問についても、栗林社長から詳細かつ丁寧な回答により、盛況のうちに物流連懇談会を終えたと報告した。

