(公社)日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は4月30日、2024年度に実施した調査結果をまとめた「2024年度物流コスト調査報告書」の概要版を公開した。

JILSは、通商産業省(現・経済産業省)の「物流コスト算定活用マニュアル」に準拠して物流コストの実態把握を行うほか、文献調査や国際比較等、多面的な調査により日本の物流コストに関する総合的な基礎データを蓄積することを目的として物流コスト調査を毎年実施している。

●調査結果の概要
2024年度調査(有効回答191社)の売上高物流コスト比率は5.44%(全業種平均)となり、前年度から0.44ポイント上昇した(※)。

JILSによると、近年は物流事業者からの値上げ要請等を背景に、売上高物流コスト比率が長期的に上昇傾向にあると見られ、実際、過去20年間の調査と比較しても、5.70%を記録した2021年度調査に次ぐ高さとしている。

なお、2022年度から2023年度にかけては売上高物流コスト比率が2年連続で減少しており、荷主企業による商品価格の値上げが進む一方で、物流事業者への価格転嫁が遅れている点が懸念されていた。今回の2024年度調査結果からは、荷主企業から物流事業者への価格転嫁が一定程度進展したことが示唆される。

ただし、同調査(企業を対象とするミクロ物流コスト調査)はサンプル数が約200社に限られるため、とくに物流危機の影響が大きかった近年では数値が乱高下する傾向が見られる。このため、長期的な傾向の把握には「指数でみた物流コストなどの動向」(概要版 p.4)や「マクロ物流コストの調査」(概要版 p.6)も併せて要参照としている。

「指数でみた物流コストなどの動向」によれば、物流コスト単価は上昇傾向にあるものの、売上単価の伸びには追いついておらず、物流事業者による価格転嫁は依然として十分とは言えない状況であることが示唆されている。「マクロ物流コストの調査」によれば、日本のGDPに対するマクロ物流コスト比率は2019年度以降上昇傾向にあり、最新の調査結果である2022年度の値は9.6%と、過去20年間で最も高い水準となっている。

※同調査(2024年度調査)は、主に企業の2023年度(または直近決算年度)の実績を基に集計している。

●2024年度物流コスト調査報告書(概要版)
https://www1.logistics.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/cost_report_20250428.pdf