㈱山善は4月9日、同社のトータル・ファクトリー・ソリューション支社(TFS支社)が、ヒューマノイドロボットに特化した産業プラットフォームを構築するINSOL-HIGH㈱と業務提携契約を締結したと発表した。今回の提携により、日本初(※1)となる「ヒューマノイドロボットの社会実装」に向けた共同プロジェクトを推進し、製造業・物流業界の自動化と生産性向上を加速させるとしている。

山善/INSOL-HIGH社、ヒューマノイドロボットの社会実装に向けて業務提携契約締結

製造業や物流業界において人手不足が深刻化し、さらなる効率化が求められる中、AI・ロボティクス技術を活用した自動化・省人化の需要が急速に拡大している。一方、現在のロボットシステムは搬送やピッキングに特化した単機能型が主流で、作業効率が高い反面、指定された作業以外の業務ができず、柔軟な対応が求められる現場では適応が難しいという課題があったとしている。

ヒューマノイドロボットは、現状の人手作業中心の現場にそのまま活用できるのが最大の特長で、自動化・省人化に向けた現場の大規模な改修や設備変更を必要とせず、また、単機能型のロボット・自動化システムと比べて実効性・汎用性にも優れている。さらに、物流施設内の他のシステム(自動倉庫・AGV等)との親和性も高いことが特長としている。

今回の提携では、山善の生産現場における自動化ノウハウや独自の販売ネットワークと、INSOL-HIGHのヒューマノイドロボットに対応したWES(Warehouse Execution System※2)や物流ノウハウを掛け合わせ、様々な生産・物流現場に適応可能なヒューマノイドロボットの社会実装を目指すとしている。

●今後の両社の取り組みについて
山善が物流の現場と自動化ノウハウを提供し、INSOL-HIGHがヒューマノイドロボットプラットフォームの開発を行うことで、以下の取り組みを進めていく。

①ヒューマノイドロボットの最適化
物流施設や工場で「移動」「物の把持」「柔軟な作業」が可能なロボットを運用し、AIを活用して作業効率を向上させる。

②共同実証実験
同社の物流施設で、WESと連携したヒューマノイドロボットの実証実験を行い、人とロボットが協調する次世代オペレーションを構築する。

③本格導入と事業拡大
2026年以降、全国の生産・物流現場に展開し、ヒューマノイドロボットのさらなる生産性向上を目指す。

ヒューマノイドロボットは実用化に向けて、ハードウェア・ソフトウェア共に技術革新が行われている。両社は山善の物流施設内での実証実験を進めながら、社会実装を実現していくことで人手不足や生産性の向上といった課題の解決に寄与していくとしている。

※1:ヒューマノイドロボットの生産・物流現場における社会実装において。(2025年3月末現在 INSOL-HIGH社調べ)

※2:物流の倉庫内における作業や設備を管理するシステムのこと。倉庫内の商品や人材、機器を制御して物流を最適化する。

●㈱山善 専任役員 トータル・ファクトリー・ソリューション支社長の中山勝人氏のコメント
今後、注目されるヒューマノイドロボットの社会実装に向け、WESの開発元であり、業務提携契約パートナーであるINSOL-HIGH社様と自社物流機能・倉庫を持つ当社とのCrossingによるシナジーで、他社に先駆けて取り組みを加速します。将来に向け、まずは人手不足が深刻化している物流業界向けの実証実験を進めていきます。

●INSOL-HIGH㈱ 代表取締役の磯部宗克氏のコメント
このたび、山善様との提携を実現できたことを心から嬉しく思います。私たちは、物流・製造業の未来を変えるという強い使命を持ち、ベンダーフリーの立場でWESと最適なロボティクスソリューションの融合、そしてヒューマノイドロボットの社会実装に挑戦しています。本提携を通じて、これまでにない革新を生み出し、人に寄り添い、人を中心とした社会で共生するロボットを創ることを目指していきます。