㈱シーネットは4月8日、自動配車システム国内トップシェアの㈱ライナロジクスと、動態管理システムを提供する都築電気㈱と、WMS・配車システム・動態管理の標準連携WMSの構築を目的に協業を開始したと発表した。

今回の連携により、WMSの出荷データを活用した自動配車の最適化、庫内作業計画との連動、リアルタイムの配送状況管理を実現。これにより、配車計画の精度向上、誤配送の防止、納品時間の短縮等、物流業務の効率化を推進する。

また、今回の取り組みの一環として、サン インテルネット㈱の物流現場でPoCを実施する予定。さらに、学術的な視点を取り入れるため、学習院大学の河合亜矢子教授(経済学部経営学科)も参画し、システム連携の有効性や実運用での課題を検証するとしている。

3社連携イメージ

近年、物流業界では2024年問題や新物流二法への対応が求められ、より効率的な配送計画と庫内作業の最適化が急務となる中、特に2025年4月1日から施行される新物効法(物資の流通の効率化に関する法律)では、積載率の向上や荷待ち時間の短縮といった物流の効率化に関する取り組みが荷主や物流事業者に努力義務として課されることになる。国が示す判断基準(取り組み例)には、配送計画の最適化などシステム活用を見据えた取り組みも含まれており、今後ますます物流システムの活用が重要になっていくことが想定されるが、従来の物流システムは個別に運用されることが多く、データの断絶による非効率が課題だったと3社は指摘。そこで3社が、それぞれの強みを活かしてWMSと自動配車・動態管理システムのシームレスな連携を進めることに合意した。

今回の取り組みにより、倉庫内業務からラストワンマイルの納品検品までを一貫して管理し、物流全体の効率化を目指すとしている。

●具体的なスキーム・連携ポイント
①WMS・配車システム連携による配送計画の最適化
・シーネットのWMS「ci.Himalayas」とライナロジクスの「LYNA自動配車クラウド」をAPI連携
・庫内作業と配車計画を同期し、最適な配送計画を立案
・変動する物流量にも柔軟に対応し、配送コスト削減と車両稼働率の向上を実現

②荷姿予測AI「LYNAロジスティクス予測」の活用による積載効率最大化
・独自アルゴリズムにより、容積情報なしで個口数を算出し、積載効率と配車計画を最適化
・トラックドライバーの労働環境改善に向け、適切な積載率と配送ルートを自動調整
・出荷予定データを基に、当日の出荷個口数を事前予測
・データ蓄積により予測精度を向上し、継続的な最適化を実現

③動態管理・納品検品との連携によるラストワンマイル最適化
・都築電気の動態管理サービス「TCloud for SCM」と連携し、リアルタイムで配送状況を把握
・誤納品防止・納品時間短縮を実現し、高精度な物流計画を策定
・AIを活用したカゴ車・カートラックの台数予測で、庫内レイアウトの最適化にも貢献

システム連携イメージ

●期待される効果
今回の連携により、倉庫内業務から配送計画、納品検品までを一貫して管理できるようになる。
・庫内作業と配送計画をシームレスに連携し、無駄な作業や待機時間を削減
・リアルタイムデータを活用し、倉庫・配送状況の一元管理を実現
・動態管理との連携により、納品精度向上や配送トラブルの事前防止
・データの蓄積・分析を通じ、継続的な業務改善とAI活用を推進

また、適正な積載率の確保と最適ルートの自動調整により、トラック輸送の効率を最大化し、長時間労働の抑制と運行の安定化を実現。物流新法への対応強化を支援する。

●今後の展望
今後、3社の技術とノウハウを活かし、WMS・TMS・動態管理のシームレスな連携を確立していくことにより、物流DXの推進を加速し、業界の新たなスタンダードを築いていくことを目指すほか、WMSとバース管理システムやマテハン機器との連携も視野に入れ、物流オペレーション全体の最適化を進めていく計画としている。