ゼブラ・テクノロジーズ・ジャパン㈱は2月27日、米国本社が実施した第17回「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」の結果を発表した。

同調査によると、小売店従業員の84%が、店内における窃盗や不正等の安全上の脅威による在庫損失や、それらを検出するソリューション導入の遅れを懸念している点を明らかにした。

具体的には、78%の小売業者が、商品の窃盗や損失を最小化することを重大な課題と認識している。加えて、76%の小売業者が、店舗従業員やバックヤード業務を支援するテクノロジーへの投資を進めている。特に生成AIやカメラとセンサ、RFIDは在庫損失を防止するテクノロジーとして注目され、現在、38%の小売業者がAIを活用した処方的分析を導入し、損失防止対策として活用している。小売業者の50%は今後1~3年間で導入を計画しており、特に今後3年以内にセルフレジへのカメラやセンサ(45%)、コンピュータービジョン(46%)、RFIDタグとリーダ(42%)等のテクノロジーの導入を計画している。

買い物客の78%は、商品が施錠されていたり、ケースに保管されていることに対して不満を感じている。また、店内での買い物中に従業員を見つけるのが難しいと回答した買い物客は70%に上った。従業員を見つけられなかったため、欲しいものを買わずに店舗を後にした経験がある買い物客は5人中1人に達しており、この割合は過去2年で増加傾向にあるとしている。

●従業員の不満、買い物客の満足度低下に影響を与えるその他の要因
同調査では、買い物体験に満足していると回答した買い物客の割合が減少していることが判明した。2023年には、実店舗、オンライン双方での買い物体験に満足しているとの回答は85%だったが、今回は実店舗が81%、オンラインが79%と共に低下している。

買い物客は小売業者に対して、オンラインで注文した商品を実店舗等で受け取るクリック&コレクトや返品オプションの提供を望んでいるが、小売業者、従業員共にどちらの方法にも課題があると認識している。小売業者は、在庫と値段の確認に課題を抱えているのが現状。加えて、実店舗を訪れる買い物客の数の増加に伴い、慢性的な労働力不足と在庫損失の拡大が深刻化し、サービスの質に大きな影響を及ぼしている。

具体的な調査結果は以下の通り。

◎セルフチェックアウト(SCO)の選択肢がショッピング体験を向上させると回答した買い物客は78%に上った。しかし、68%がSOCレーンの不足を課題として挙げており、SCOや非接触型決済のオプションが提供されていないことから、購入を断念した経験がある買い物客も見受けられる。

◎71%の買い物客が従業員によるサポートの不足に懸念を示している。一方、従業員の82%が必要な時に適切な支援を受けることが難しいと感じている。

値段や在庫の確認にとどまらず、リアルタイムでのコミュニケーションや業務の優先順位付けを効率化するモバイルテクノロジーの導入が、より良い顧客体験の提供に寄与すると考えている小売従業員は約90%を占めている。さらに、多くの小売業者がテクノロジーの導入によって従業員の業務効率が向上すると認識しており、75%の小売業者が、2025年までにこれらの技術への投資を拡大することを計画している。

●第17回「小売業界のテクノロジー改革に関するグローバル調査」概要
調査企画:ゼブラ・テクノロジーズ・コーポレーション
調査対象:18歳以上の買い物客、小売店従業員、小売経営陣4,200人以上
調査地域:北米、ヨーロッパ、中南米、アジア太平洋(オーストラリア、ニュージーランド、中国、インド、日本)
調査方法:Azure Knowledge Corporation(米調査会社)が2024年6~7月、オンラインにて実施
日本語版レポート:https://www.zebra.com/jp/ja/cpn/global-shopper-study.html