(一社)日本物流団体連合会(物流連)は2月12日、令和6年度 第3回「物流分野における低炭素・脱炭素化推進に向けた情報交換会」を、千代田区の全日通霞が関ビル会議室で開催した。
同会合は、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた動きや、国の対応、物流業界をはじめとする産業界の取り組み等について、有識者による講演や、参加メンバーによる情報交換を趣旨として開催しているもの。

今回は、講師に慶應義塾大学総合政策学部教授の白井さゆり氏を講師に迎え、「世界で高まる環境経営の重要性」をテーマに開催した。

第1部の講演会では、企業にとって環境経営は、もはや理念に留まるものではなく、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース;2017/2021年)提言や、それに基づく我が国のSSBJ(サステナビリティ基準委員会;2023年)での開示基準の開発等を通じて、必ず取り掛からなければならない課題となっていること、そのためには気候関連のリスクと機会を、ガバナンスと戦略の面から把握・分析する必要があり、特に「移行リスク」への対応(※脱炭素化への移行中に発生する事業上のリスクへの対応、(例)自動車メーカーが、廉価なEVの普及に対して従来型エンジン車をどう位置付け対応するのか等))は投資家からも注目されていること等、環境経営の重要性・必要性について国際的な潮流を交えて講演された。また、実務上、出席者の関心の深い点として、GHGプロトコールにもとづくスコープ1~3の算定については、どの企業も試行錯誤しながら取り組んでいる点にも言及した。

第2部の情報交換会では、「(気候変動によって)どのような物理的リスクが顕在化してきているか?」と「温室効果ガスの削減余地は、自社とサプライヤーの各々においてどこにあると思われるか?」の、実務上重要な2つのテーマが白井氏より提示され、各グループで活発な意見交換が行われた。