(一社)日本スーパーマーケット協会(JSA)は1月1日、岩崎高治会長による2025年年頭所感を発表した。
●日本スーパーマーケット協会・岩崎高治会長の年頭所感
2024年の国内経済は緩やかな回復基調となりましたが、世界では地政学リスクが高まると共に、先進各国ではリーダーが交代するなど先行き不透明な状況が続いています。スーパーマーケットは、商品価格の上昇や賃上げもあって売り上げは順調に推移していますが、反面、度重なる食品の値上げ等による消費者の節約志向が強まる中、人件費や物流費、建築資材の高騰が続き、企業経営を取り巻く環境は大変難しい状況にあります。
このような中、当協会としては「持続可能な物流の構築」「人手不足対策」「環境対策」の3つに取り組んできました。
「持続可能な物流の構築」については、物流分野を競争ではなく協調領域と捉え、当協会加盟企業4社で発足した「首都圏SM物流研究会」は現在19社にまで拡大しました。首都圏以外の企業の参加も加速しており、エリアごとの部会も発足しています。引き続き荷待ち・荷役作業等時間の削減に取り組むとともに、共同配送や各社の空き車両の有効活用、生鮮、チルド品における物流課題の改善等、サプライチェーン全体の効率化に向けて製・配・販で情報を共有しながら取り組んでまいります。
年々深刻化する「人手不足」に対しては、「デジタル機器やAI 技術の積極的活用による生産性向上」「外国人材の受入れ拡大」とともに、「年収の壁」の見直しに取り組みました。当協会加盟企業で働くパート従業員へのアンケートにより就労調整の実態を明らかにするとともに、「雇用と社会保障に関する検討会」を立ち上げ、「スーパーマーケット業界における年金制度改革に関する提言」を取りまとめました。年収の壁については、「年金制度」のみならず、「税制」及び「企業の配偶者手当」も含めた総合的な改革が必要と考えていますが、被用者保険の企業規模要件の撤廃や、住民税・所得税の課税最低額引き上げ等、主要な提言が実現に向けて動き出しています。また、かねて要望しておりました、外国人在留資格「特定技能」について、飲食料品製造業分野においてスーパーマーケットの店舗バックヤードにおける製造作業での受入れが可能となりました。さらに技能実習制度の対象分野も広がり、2027年には育成就労制度に移行することが決定されるなど外国人材受入れの環境が整ってきています。
「環境問題」については、食品廃棄物、プラスチック、CO2排出量の3つの削減に取り組み、フードバンクへの食材の提供やカトラリーなど使い捨てプラスチックの削減、リサイクルを進めてきました。環境問題は協調領域であり、会員間で先進的な取り組みを共有してまいります。
食品スーパーマーケットは、地域のお客様の暮らしを支えるライフラインとして、食料品の安定供給と豊かな食生活の提案に取り組むとともに、各企業で働く従業員へのサポート、そして、流通全体の効率化に向けて製・配・販の連携を推進してまいります。これからも変わらぬご支援をお願いいたします。
今年が皆様にとりまして、良い年となりますことを心より祈念いたしております。