三菱ケミカル物流㈱は10月16日、同社が2021年4月にサプライチェーンの取引先や価値創造を図る事業者との連携・共存共栄を進め、新たなパートナーシップを構築する「パートナーシップ構築宣言」の一部内容をを10月1日に更新したと発表した。

同宣言で重点的に取り組む項目は以下の通り。

(1)サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携
直接の取引先を通じてその先の取引先に働きかける(「Tier N」から「Tier N+1」へ)ことにより、サプライチェーン全体での付加価値向上に取り組むほか、既存の取引関係や企業規模等を超えた連携により、取引先との共存共栄の構築を目指すとしている。その際、災害時等の事業継続や働き方改革の観点から、取引先のテレワーク導入やBCP(事業継続計画)策定の助言等の支援も進める。

[個別項目]
サプライチェーンについての情報共有や可視化を促進し、関係する取引先と協力し、「安全・安定&効率」物流の提供を目指す。

(2)「振興基準」の遵守
親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)を遵守し、取引先とのパートナーシップ構築の妨げとなる取引慣行や商慣行の是正に積極的に取り組む。

①価格決定方法
不合理な原価低減要請を行わないとの方針は変わらない。ただし、取引対価の決定にあたり、従来の宣言内容では、「下請事業者から協議の申し入れがあった場合」のみ協議に応じるとしていたのに対して、今回の宣言では、「下請事業者と少なくとも年に1回以上の協議」を行う点を明記。協議に関しても、従来は、「労務費上昇分の影響を考慮するなど下請事業者の適正な利益を含むよう、十分に協議する」としていたのを、「下請事業者の適正な利益を含み、下請事業者における労働条件の改善が可能となるよう、十分に協議して決定する。その際、『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』に掲げられた行動を適切にとった上で決定する。また、原材料費やエネルギーコストの高騰があった場合には、適切なコスト増加分の全額転嫁を目指す」と変更した。

なお、取引対価の決定を含め契約にあたっては、契約条件の書面等による明示・交付を行う。

②型管理等のコスト負担
従来の宣言内容では、「契約のひな形を参考に型取引を行い、不要な型の廃棄を促進するとともに、保管費用の負担については下請事業者と十分に協議の上、下請事業者に対して型の無償保管要請を原則行わない」としていた点を、「『型取引の適正化推進協議会報告書』に掲げられている『型取引の基本的な考え方・基本原則について』や、『型の取扱いに関する覚書』を踏まえて型取引を行い、不要な型の廃棄を促進するほか、下請事業者に対して型の無償保管要請を行わない」との記述に変更した。

③手形などの支払条件
下請代金は可能な限り現金で支払う。手形で支払う場合には、割引料等を下請事業者の負担とせず、また、将来的には支払サイトを60日以内とするよう努める。

④知的財産・ノウハウ
従来の宣言の、「取引上、優位な地位を利用して、ノウハウの開示や知的財産権の無償譲渡等は求めない」との記載から、「『知的財産取引に関するガイドライン』に掲げられている『基本的な考え方』や、『契約書ひな形』を踏まえて取引を行い、片務的な秘密保持契約の締結、取引上の立場を利用したノウハウの開示や知的財産権の無償譲渡等は求めない」と変更した。

⑤働き方改革等に伴うしわ寄せ
取引先も働き方改革に対応できるよう、下請事業者に対して、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や急な仕様変更を行わない。災害時等においては、下請事業者に取引上一方的な負担を押し付けないように、また、事業再開時等には、できる限り取引関係の継続等に配慮する。

(3)その他
・「ホワイト物流」に関する「自主行動宣言」を表明し、「安全・安定&効率」物流に取り組む。
・取引先には不当・不合理な依頼をせず、取引価格については合理的に依頼・交渉する。