三菱ＨＣキャピタル㈱は2月9日、ロボティクス分野における新規事業の開発・推進を加速するため、2024年4月1日付でその専門組織として「ロボティクス事業開発部」の設置を決定したと発表した。
同社はグローバルに培ったアセットに関するノウハウ、顧客基盤、ファイナンス機能等の強みを組み合わせたコーディネート機能を生かし、様々な分野におけるロボット活用の普及、促進に取り組み、業界をリードするロボットサービスプロバイダーとして労働力不足等の社会的課題の解決に貢献していくとしている。
近年、国内では少子高齢化に伴う労働力不足の解消に向けて、様々な業界においてロボット導入へのニーズが高まっている。世界のロボット市場は、2020年時点で約3兆円の規模にあり、昨今の労働力不足等を背景に、今後も年平均で15％程度の成長が見込まれており、2030年には約13兆円規模に拡大するといわれている(※1)。
また、工場など屋内で定型的な業務を担うロボットから、非定型的な業務や屋外で活躍するロボットまで、その活用シーンも年々拡大しており、国内では経済産業省において、現時点にて普及が進んでいない分野におけるロボット利用の拡大を図るため、ロボットフレンドリーな環境(※2)の構築、整備に向けた論議、さらにはロボット導入に向けた実証実験等を実施している。
同社はマテリアリティの1つに「最新技術を駆使した事業の創出」を掲げており、長年にわたってグローバルに培ったアセットに関するノウハウ、パートナー企業との幅広いネットワーク、強固な顧客基盤、さらにはファイナンス機能等を組み合わせた同社のコーディネート機能が最先端テクノロジーであるロボティクス分野に生かせるものと判断、経産省が主導する論議等に参画してきた。2021年度以降は、それらの成果をもって他社との協働、パートナーシップにより、「食品」や「施設管理」、「物流」等の分野におけるロボティクスに関する各種実証実験、その補助事業にも取り組んでいる。
今回、今後のさらなる普及が期待されるロボティクス分野における市場ポジション、優位性の確立を図るため、全社の知見、ノウハウを結集した新たな専門組織を設置、社会的課題の解決につながる新規事業の開発・推進に取り組む。また、ロボティクスは、同社は「2023～2025年度中期経営計画」(2025中計)にて掲げる「ビジネスモデルの進化・積層化」の「アセット活用事業(※3)」にも該当するもので、同社の中長期的な利益成長の柱の1つに位置づける。
新たに設置する「ロボティクス事業開発部」では、すでに取り組みを開始した「食品」、「施設管理」、「物流」等の分野に加えて、新たに「小売」、「建築」等の幅広い業界、分野を対象に、ベンチャー企業やパートナー企業とのアライアンスを通じたエコシステムの構築を図る。同社はロボット単体の提供にとどまらず、同分野における知見、ノウハウ等を結集の上、デジタル技術との融合をもって様々なソリューション、価値を提供するロボットサービスプロバイダーとして、産業界の労働力不足等、社会的課題の解決に取り組んでいく。
※1：2022年度における「欧米、アジア等におけるロボット導入の現状、導入ニーズ、研究開発状況等に係る調査」(NEDO)に基づく同社推定値(1ドル149.58円で換算)
※2：サービスロボットを導入しやすい環境
※3：アセットを活用した事業を経営し、事業収益の最大化を図るもの。ミドルリスク・ミドルリターンの新規事業の開発を行う(参考：2025中計https://www.mitsubishi-hc-capital.com/pdf/investors/mp_jp_2023-2025.pdf)
●三菱ＨＣキャピタルのロボティクス分野における主な取り組み
(1)食品工場における惣菜盛り付け工程の自動化、サービスモデルの構築
食品工場で課題となっている「惣菜・弁当の盛付」を自動化するロボットを開発したベンチャー企業であるコネクテッドロボティクス㈱との資本業務提携を締結。コネクテッドロボティクスと共に、食品工場における惣菜盛り付け工程の自動化、サービスモデルの構築に向けた実証実験に参画、現在はその結果をもとに事業化を検討中。
・2022年9月27日付ニュースリリース：
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/20220927.pdf
・2022年12月1日付ニュースリリース：
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/2022120101.pdf
(2)複合施設における研究開発事業
森トラスト㈱、ソフトバンクロボティクス㈱、㈱Octa Roboticsと共に、経済産業省が採択したロボットフレンドリーな環境構築の実証実験に参画。「仙台トラストタワー」において複数階の移動を伴う清掃業務や食品(弁当・コーヒー・ランチBOX)のデリバリサービス等の業務にロボットを実装することで、その効果や運用上の課題、経済性の検証を行っている。
・2023年9月29日付ニュースリリース：
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/2023092901.pdf
(3)物流施設におけるロボットを活用した実証事業
㈱ビックカメラ、㈱山善と共に、経済産業省が採択した、物流施設におけるロボットを活用した実証事業に代表企業として参画。ビックカメラの物流施設において単品ごとに必要な個数を在庫から運び出すピースピッキングを担う協働ロボットの効果的な活用事例の創出に向けた実証を行っている。
・2023年11月14日付ニュースリリース：
https://www.mitsubishi-hc-capital.com/investors/library/pressrelease/pdf/2023111401.pdf
