三菱ふそうトラック・バス㈱は7月26日、米国Ample Inc.と、日本国内における EV(電気)トラック向けバッテリ交換技術の共同実証に関する契約を締結したと発表した。

2023年3月、三菱ふそうは小型EVトラック「eCanter」の新型モデルを発売し、99km~324km(※1)の航続距離によって、都市内輸送を中心に多くの引き合いがあるとしている。今回の実証では、さらに将来を見据え、より長距離を走行する用途等、「eCanter」の活用の可能性拡大を探るとしている。

※1:国土交通省審査値

三菱ふそうとAmple社は、MFTBCの電動化ソリューションとAmple社のバッテリ交換技術を融合させるため、実証を行う。初期の実証では、「eCanter」新型モデルを使用する。Ample社のモジュールを装着した「eCanter」がAmple社のバッテリ交換ステーションに入庫すると、ロボットが自動でバッテリを交換する仕組み。バッテリ交換時間は5分を目標にしている。今回の取り組みを通じて、顧客の反応、同技術の拡張性、日本における将来的な商業化の可能性を検討する。日本国内での試験車両の走行を今冬に実施する予定。

バッテリ交換技術のイメージ

三菱ふそうは2017年に国内初の量産型小型EVトラック「eCanter」の導入以来、eモビリティ分野をリード。2023年3月には「eCanter」の新型モデルを発売し、2039年までに全製品をカーボンニュートラル化するという目標に向けた取り組みを続けている。Ample社との取り組みを通じて、「eCanter」を用いたサステナブルな輸送へのさらなる貢献を目指すとしている。

Ample社は既存の充電ソリューションよりも迅速かつ低コストなバッテリ交換ソリューションを開発し、ラストマイル配送、配車サービス、カーシェアリングの分野を中心にエネルギー供給サービスを提供してきた。特許に裏付けされたAmple社の技術によって交換ステーションでの「eCanter」のバッテリモジュール交換は最短5分で完了する。MFTBCとAmple社は同技術を用いて、中距離輸送・ラストマイル配送におけるニーズに対応するソリューションの確立を目指すとしている。

日本政府の2050年カーボンニュートラル目標やグリーン成長戦略における商用車の電動化目標設定等、輸送の分野でもカーボンニュートラルに向けた動きが加速している。その手段であるEVトラックは充電時間の長さによるダウンタイム(非稼働時間)の長さが課題の1つとされている。通常の小型EVトラックの日本国内での充電時間は普通充電で10時間前後、急速充電で1~2時間程度を要する(※2)。

今回の実証で、三菱ふそうとAmple社はバッテリ自体を交換してEVトラックの稼働可能時間を大きく高めることで、その課題を解決するほか、ひいては物流業界のEVシフトを後押しすることを目指すとしている。

※2:充電時間は一例。電池残量やトラックの仕様等の条件によって変動する。

「eCanter」とAmple社のバッテリ交換ステーション