(一社)日本物流団体連合会は1月1日、2023年の池田潤一郎会長の年頭挨拶を以下の通り発表した。
●物流連・池田潤一郎会長の年頭挨拶
新年あけましておめでとうございます。2023年の年頭にあたり一言ご挨拶申し上げます。
昨年は、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発し、食料やエネルギーをはじめとする物価が高騰し、世界各国でインフレが深刻な問題となりました。インフレ抑制に向けた欧米の中央銀行による金融政策は急激な円安を加速させ、世界的な景気後退懸念が高まりつつあります。
国内に目を転じますと、新型コロナウイルス感染症のまん延はいまだ終息の見通しが立たない状況にはあるものの、水際対策の見直しが行われ、移動の制限も少なくなる等ウイズコロナのもとで「新しい日常」と共に経済活動が確立されはじめている感がいたします。
物流を取り巻く環境は、このような国際情勢や感染症の影響でグローバルサプライチェーンの混乱が続く中、物流を止めないことに注力した1年でもありました。我々物流事業者にとって最も大切なことは、安全な輸送を通じ、人々の生活を支える様々な生活必需品や物資、エネルギー等の輸送を絶やさず、安定した輸送を提供し続けることでグローバル経済や社会の持続的成長を支えることにあると思います。
このような中、物流連では様々な活動を実施してまいりました。
まず、「物流を等身大で社会一般から見ていただく活動」として、会員企業のご協力のもと学生を対象とした物流業界セミナーやインターンシップをWEB併用で開催し、人材育成と広報活動の強化を継続しました。大学での寄付講座や学内セミナーにおいても、より多くの学生に「リアルな物流業の実態と物流業の重要性」を認識してもらう機会を増やしました。
また、「国際的な課題への取組み強化」では、バングラデシュに焦点を当て、ウエブを活用した現地実態調査を行いました。バングラデシュは1人当たりのGDPがインドを抜く等、今後の成長が期待されており、引き続き情報収集に努めてまいります。
「物流環境対策への取組み」では、コロナ禍にも拘わらずモーダルシフト取組み優良事業者賞に多数の応募をいただき、脱炭素社会に向けた物流事業者の取組みを社会に公表しました。また、物流分野における低炭素・脱炭素推進に向けた情報交換会を開催し、国や産業界のカーボンニュートラルに向けた動向を把握するとともに、陸運、海運、倉庫等、業態を超えてベストプラクティスを共有しました。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によりサプライチェーンのあり方や、物流の姿そのものが変わりつつあります。物流の担い手が減少する中で、運転や荷役の自動化への取組みや、輸送の効率化に向けた「共通基盤の構築」、感染を防止するための非接触による受渡し等、様々な取組みを並行して進めていく必要があります。そして、これらを可能とする前提は、「物流標準化」と「デジタル化」の推進です。これらについて物流業界を超え、官民連携、他産業との連携を一層強化しながら推進していく所存です。
新しい年を迎えるにあたり、本年が物流業界にとり飛躍の年となること、そして、物流の現場での安全を祈念し、皆様のご支援とご協力をお願い申し上げ、新年の挨拶とさせていただきます。