㈱ファイントゥデイ、ケンビューの日本法人であるJNTLコンシューマーヘルス㈱、丸紅ロジスティクス㈱、日本パレットレンタル㈱(JPR)は9月17日、4社協働で、製品の物流において荷役、輸送、保管等に使用する国内用レンタルパレットを用いた、2荷主の日本・中国間の輸出入マッチングを行い、当該国内用レンタルパレットを海外でも循環利用する「パレットラウンドユース」を開始すると発表した。7月から試行運用を行い、安定的なオペレーションを継続できる目途が立ったため、9月より本格運用へ移行する。
日本国内では製品メーカー・卸売・小売など業態を超えたレンタルパレットの循環利用スキームが確立されている。
本件は海外との輸出入において、海外用パレットへの製品積み替えを行わずに国内用のレンタルパレットを循環利用するスキームであり、当該国内用パレットを介して2荷主間の製品輸出入をマッチングさせた、効率的な国際物流に資するもの。
また、2024年問題の解決への貢献として、ファイントゥデイの中国輸出時における海外用パレットへの製品積み替え作業が不要となり、最大5,000時間(※1)のトラックドライバーの荷待ち時間削減につながる可能性がある。さらに4社連合の取り組みによって、ファイントゥデイにおける海外用使い捨てパレットの廃棄取り止め、およびケンビューにおける日本への輸出のための空パレット事前輸送の解消を実現し、CO2排出量の削減にも貢献する。
今後は中国以外の他国間においても本件パレットラウンドユーススキームを拡大するほか、商材・物量・輸送エリア等の親和性が高い企業の参画を呼びかけ連合化する等の、パレットによる企業・業界をまたいだ、さらなるサプライチェーン最適化を実現していくとしている。
●今回のスキームの仕組み
①ヘアケアブランド「TSUBAKI」等を扱う日用品メーカーのファイントゥデイが中国へ製品を輸出する際、日本国内の物流で使用しているJPRのレンタルパレットに積載し、海上輸送する。
②中国でファイントゥデイ製品の荷降ろし後、空パレットは新設したJPRデポ(丸紅ロジスティクス現地法人が運営)に一時保管される。さらに、「リステリン」等を扱うコンシューマーヘルスメーカーのケンビューが日本へ製品を輸入する際、その需要に応じてJPRデポからパレットがその都度供給され、製品積載の上日本へ海上輸送する。
③日本への輸入後、ケンビュー製品はJPRのレンタルパレットに積載されたままの状態で各得意先向けに出荷される。各得意先での荷降ろし後、空になったパレットは再び日本国内および中国との輸出入時に循環利用される。
④ファイントゥデイ製品の中国への輸出、ケンビュー製品の日本への輸入における各種物流手配は丸紅ロジスティクスが主に担う。
●スキームの特徴と今回の取り組みに至る社会的背景
本件スキームの特徴は、国内で最も流通枚数の多い(※2)JPRの国内用レンタルパレットの循環利用を、4社連合で海外にも拡大適用するという新規性にある。
JPRレンタルパレットは、国内の主要卸売業・小売業物流センターへの製品輸送に使用された後、空パレットの回収をJPRがまとめて行う共同回収システムで運用されている。今回の取り組みでは、ケンビュー製品の日本への輸入時にJPRの国内用レンタルパレットを用い、当該パレットは国内の共同回収システムにシームレスにつながり、積み替え作業を行うことなく得意先向けの出荷に使用される。このため、空パレットの事前回送が解消されるほか、ファイントゥデイ製品の輸出時も、国内用レンタルパレットに積載したまま海上輸送する。
従来、ファイントゥデイの海外輸出品は完成品倉庫にて輸出用の使い捨てパレットに積み替える作業とそれに伴う荷崩れ防止のためのフィルムの巻き直し作業を行っていた。
当該作業には1パレット当たり最大5分程度を要し、年間約6万枚分の作業時間が、港へ輸送するトラックへの荷待ちにつながる可能性があることから、トラックドライバーの時間拘束という2024年問題の観点で課題があった。加えて、輸出用の使い捨てパレットは輸出先現地で廃棄処分しており、環境負荷低減の対策が急務だった。
また、ケンビューにおいては、製品を日本へ輸入するため、空の国内用レンタルパレットを事前に日本から中国現地へ海上輸送していた。これは輸送コスト面に加えてCO2排出面でも課題があった。
国際物流におけるパレットの効率的活用については、政府公表の「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」 においても、環境への負荷低減等につながるリターナブル物流容器の普及促進が唱えられている(※3)。かかる背景のもと、4社協働による、2荷主間の輸出入をマッチングさせた効率的なパレット循環利用という新規取り組みに至ったとしている。
●期待される効果
本件は、国内用レンタルパレットを介して2荷主間の製品輸出入をマッチングさせた、効率的な国際物流に資するもので、個社では成しえなかった効果の実現を目指すもの。また、2024年問題の解決への貢献として、ファイントゥデイの中国輸出時における年間約6万枚分の海外用使い捨てパレットへの製品積み替え作業が不要となり、最大5,000時間(※1)のトラックドライバーの荷待ち時間削減につながる可能性があるとしている。さらに、今回の4社連合の取り組みによって、ファイントゥデイの輸出用使い捨てパレットの廃棄取り止め、およびケンビューの空パレット
事前輸送解消を実現し、CO2排出量の削減にも貢献します。
※1:国内用レンタルパレットから輸出用使い捨てパレットへの積み替え、およびこれに伴う荷崩れ防止のためのフィルムの巻き直し作業に、従来パレット1枚あたり最大5分程度を要しており、年間約6万枚分の作業時間を算出したもの
※2:JPRのレンタルパレット保有枚数は約1,170万枚(2023年度末)であり、(一社)日本パレット協会「年度別レンタルパレット保有数量(枚)」に記載されたレンタルパレット総数約2,773万枚(2023年度木製平パレット・プラスチック製平パレットの合計)に占める国内シェアは約42%
※3:国土交通省「総合物流施策大綱」、「国際物流」