(一社)日本物流団体連合会は3月2日、令和4年度第4回「海外物流戦略ワーキングチーム会合」を千代田区の全日通霞が関ビルで開催した。
物流事業の海外における事業活動に関する課題について官民連携して検討する会合で、会員企業や国土交通省から32名が参加した(うち15名がWeb参加)。
令和4年度の同ワーキングチームの調査対象国はバングラデシュで、昨年に引き続きコロナ禍の影響で海外渡航による実地調査が困難であるため、デスクトップ調査等のほか、Webを活用し海外の専門機関へのヒアリング等によって現地の物流実態について調査を行っている。
今回は、㈱IHIインフラシステム 海外プロジェクト室の端野博之氏を講師として招聘し、「バングラデシュで展開する海外工事プロジェクトとロジスティクスの関係」と題して講演した。講演会には、Web一般参加者を含め合計55名が参加した。
講演は、はじめに同社によるバングラデシュ工事・輸送実績が説明された。同社にとって初の試みだった鋼橋の輸送について、輸送期間、大型部材である鋼橋のハンドリング等、試行錯誤を重ねたプロジェクトが具体的に説明された。輸送については、生産工場のベトナム(ハイフォン)からバングラデシュまでのルートや輸送モードの解説があった。現地のハンドリングレベルが低く、橋桁の損傷事例が発生する等のトラブルに対して、梱包の追加養生による解決事例等を具体的に紹介された。
バングラデシュは通関プロセスが非常に複雑であり、輸送モードによって異なる各種手続きについて説明がなされた。迅速な通関手続きには、優秀な代理店と組むことが不可欠であり、優良な現地物流事業者といかに太いコネクションを持つかが重要と解説された。
ワーキングチーム会合では、国土交通省総合政策局物流渉外官の村井香菜氏から「最近の国土交通省の国際物流政策の取り組みについて」と題し説明された。
具体的には、国際物流の多元化・強靭化に向けた実証輸送に関する実施方針の説明に続き、日中韓物流大臣会合およびASEANにおけるコールドチェーン分野の取り組み状況について報告がなされた。
その後、事務局より海外物流事情調査報告書の内容について説明すると共に、来年度の調査対象国をベトナムとすることを内容とする方針案を提案。これに対し、メンバーから調査に対する具体的要望の発言もあり、事務局がそれらに対処する旨を共有した上で方針案は承認された。