国土交通省は6月13日、6月6日~10日にかけて国際海事機関(IMO)第78回海洋環境保護委員会(MEPC78)がWeb形式で開催されたと発表した。

今次会合では、国際海運の温室効果ガス(GHG)排出削減目標について、今年12月に開催される次回会合(MEPC79)の前週に作業部会を開催し、引き続き議論を進め、2023年に採択することが合意された。

MEPC78での主な審議結果は以下の通り。

(1)国際海運の気候変動対策
IMOでは、2018年に「GHG削減戦略」を採択し、①2030年までにCO2排出量40%以上削減(輸送量あたり、2008年比)、②2050年までにGHG排出量50%以上削減(2008年比)、③今世紀中なるべく早期の排出ゼロという目標を設定するとともに、同戦略を2023年夏に改定することが合意されている。

日本政府は今次会合に対し、「GHG削減戦略」の改定に際して、米国・英国等(※)と共同で、遅くとも2050年までにGHG排出をゼロにすることを念頭に、具体的な目標設定の議論を進めることを提案したほか、2030年目標の強化や2040年目標の新設についても併せて検討すること、次回会合(MEPC79)までに作業部会を開催して議論を進めること等を提案した。

※共同提案国(アルファベット順):豪州、カナダ、ジャマイカ、日本、ニュージーランド、ノルウェー、ソロモン諸島、英国、米国。また、EU加盟国および欧州委員会も日本等による共同提案への支持を表明。

日本を含む先進諸国は遅くとも2050年までにGHG排出をゼロにすることを主張し、戦略改定の議論を加速するべきと主張。これに対し、多くの発展途上国は目標の改定にあたっては実現可能性や各国に対して与える影響の評価が不可欠であり、作業部会での検討は時期尚早と主張した。

審議の結果、今年12月に開催されるMEPC79の前週に第13回GHG中間作業部会(ISWG-GHG13)を開催し、戦略の改定について引き続き議論を進め、2023年夏に改定戦略を採択することが合意された。

(2)その他
地中海における燃料油中硫黄分濃度の規制強化、船舶からの海洋プラスチックごみ対策、船舶バラスト水規制管理条約の見直しに関する今後の検討の進め方、排出ガス洗浄装置に関するルールの調和等について審議を行った。