業務用プレハブ冷蔵庫の製造、組立、施工を展開する断熱パネルメーカーのたつみ工業㈱は3月11日、新工場「木更津プラント」から2024年3月8日に「初荷」を出荷したと発表した。

納品先は千葉県野田市に建設中の大型物流センターで、フロアの一角に建設中の冷凍冷蔵専用エリアの断熱パネル壁として施工される。

同社はコンビニエンスストア向けウォークイン冷蔵庫で首都圏のおよそ80%、東京神奈川千葉他首都圏のセブン-イレブンでほぼ100%のシェアを持つ。

千葉県木更津の4万3,377㎡の敷地に工場・事務所棟を建設し、従来のコンビニやスーパーの業務用プレハブ冷蔵庫用パネルのほか、大型冷凍冷蔵庫、物流センター、クリーンルーム向けに事業を進出する同社には、昨年秋頃から物流の中継地点に位置する大型物流倉庫からの引き合いが増えているとしている。

初荷の様子

昨今、国内の物流関係者の間で、農畜産物や水産物、冷凍食品を保管する冷凍冷蔵倉庫が今後不足するとの警戒感が広がっており、3割に上る築40年超の倉庫の建て替えが進んでおらず、10年後には大半の地域で足りなくなるとの試算があるとしている。

また、㈱日本経済研究所による冷蔵倉庫の必要供給量の試算によると、今後の保管需要を2030年頃まで現行水準から横ばいで推移し、築50年の冷蔵倉庫の半分は廃棄されるという前提の上では、今後10年間で30万t/年規模の新規投資が必要になる見込みとしている。

CBREが発表した、特別レポート「物流施設利用に関するテナント調査2023」では、今後3年間の物流拠点計画について、倉庫の総面積を「拡大する」とした回答は全体の57%を占め、2022年(59%)に続き旺盛さが伺える。

共働きや高齢世帯の増加、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛により、食の簡便需要が強まった影響で冷凍食品市場は拡大し続けており、2022年は過去最高だった2017年(160万 46トン)とほぼ同水準。金額(工場出荷額)は7,639億円、4.0%増と3年連続プラスで過去最高を更新した(出典:日本冷凍食品協会 令和4年1月~12月の冷凍食品国内生産)。

たつみ工業木更津プラント正面
上空からプラントを望む

●日本最厚300mm、世界初処方の連続式不燃ウレタン断熱パネル(HFO PIR)「TATUMI PANEL」
①ドイツBASF社製ウレタン
不燃パネルでは世界初の処方である、ドイツのBASF社製を採用。成形不良が少なく平滑で剥離しにくい質の高い芯材を形成できることにより、場所や用途に合わせて厚さ150mm~250mmの大型冷凍冷蔵庫向け断熱パネル製造が可能に。ポテンシャルとしては日本最厚300mmの断熱パネルの製造も可能。

②連続ライン生産方式
10年~15年先の工場労働人員不足を見据え、高品質の製品をオペレーター数人で生産が可能な設備・プロセスを有する工場に。ドイツのHennecke-OMS社の連続生産ラインを導入することで、従来のバッチ式と比較して生産性が格段に向上。リードタイムが短く大量生産が可能に。

③廃材削減に貢献する梱包方式
自動梱包に加え、従来の木製パレットを使用せず新たにEPS材を使用。現場での廃材の削減に貢献する地球環境に優しい新しい梱包方式。