NIPPON EXPRESSホールディングス㈱(NXHD)と日本貨物鉄道㈱(JR貨物)、㈱T2の3社は6月23日、NXグループの日本通運㈱と共に国内初の自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた「モーダルコンビネーション」(※1)の実証を開始したと発表した。

第1弾として、雪印メグミルク㈱の常温品を北海道―関西間で輸送する。今回の実証では、T2が開発したレベル2(※2)自動運転トラックによる幹線輸送に取り組みつつ、今後、T2が2027年から開始を予定しているレベル4(※3)自動運転トラックを用いたモーダルコンビネーションも視野に入れ、国内初となる新たな輸送モデルが確立できるか検証を行う。

国内初、自動運転トラックと貨物鉄道によるモーダルコンビネーション実証の様子

今回の取り組みは、 地球環境問題への対応や物流業界の労働環境改善、労働力不足の解消等、持続可能な物流の実現を目指し、2024年11月より日本通運・全国通運㈱・日本フレートライナー㈱・JR貨物・T2の5社で、検討を進めてきた。

貨物鉄道輸送の全国ネットワークと、T2が有する自動運転トラック技術を融合させ「自動運転トラック×貨物鉄道」のモーダルコンビネーションを実現することで、自動運転区間における輸送ルートの複線化を構築するほか、柔軟な輸送力の増加が可能となる等、物流の可能性を広げることを目的としている。

今回の実証では、JR貨物とT2で31フィートタイプの共用コンテナを共同開発した。このコンテナを用いることで、モーダルコンビネーションの際に、貨物列車からT2のトラックへ直接載せ替えが可能となる。北海道から関東までをJR貨物の貨物列車で輸送し、関東から関西までの高速道路の一部区間をT2のレベル2自動運転トラックで幹線輸送する。また、日本通運は、貨物駅と顧客の物流拠点間の集貨・配達を担当する。

今回の実証のルート/役割イメージ

●実証概要
期間:2025年6月20日~6月24日
対象区間:北海道→関西の発着地(オペレーション全体としての対象)
・雪印メグミルク物流拠点(北海道)→札幌貨物ターミナル駅(北海道):日本通運のトラック
・札幌貨物ターミナル駅→隅田川駅(東京都):JR貨物の貨物列車
・隅田川駅→高速道路およびIC前後の一般道→百済貨物ターミナル駅(大阪府):T2のレベル2自動運転トラック
・百済貨物ターミナル駅→雪印メグミルク物流拠点(大阪府):日本通運のトラック

●参加企業と役割
・雪印メグミルク:商品輸送における実証への協力および商品輸送後の品質検証
・日本通運:集貨・配達
・JR貨物:貨物鉄道区間での輸送および検証
・T2:高速道・専用道での運送区間における自動運転輸送および検証

●実証内容
・隅田川駅における貨物列車からT2のトラックへの共用コンテナの積み替え作業の検証
・北海道―関西間における一貫オペレーションの検証
・自動運転トラック輸送区間を中心とした輸送品質の検証
※実証実験時の自動運転トラック運行はドライバー乗車のもと行う。

T2の自動運転トラック

※1:トラックと鉄道の親和性を高め、相互に補完し合う輸送モデル
※2:ドライバーの監視のもとに行われる特定条件下での高機能自動運転
※3:特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態