大和ハウスグループの大和物流㈱と㈱T2は6月18日、2025年7月2日から、自動運転トラックを活用して住宅用建材や設備等を幹線輸送(※1)する実証実験を関東と関西を結ぶ高速道路の一部区間で開始すると発表した。

トラックドライバーの労働時間規制が強化された「2024年問題」により、物流業界ではトラックドライバーの確保が年々困難になっている。中でも、最も影響を受ける長距離幹線輸送においては、ドライバー不足に対応できる輸送体制の構築や物流の効率化が強く求められている。
そうした状況を受けてT2は、物流危機への対応として自動運転トラックによる幹線輸送の実現を目指しており、大和物流はドライバー不足の代替手段としての可能性に着目し、2023年にT2へ出資した。
今回、両社は、自動運転トラックによる住宅建材輸送において輸送品質の確保と安定的な輸送体制の構築を目的に、大和物流が大和ハウス工業に提供している調達物流*2の幹線輸送にて実証実験を実施することとした。
住宅建材は重量物・長尺物・繊細な内装材など多様であり、輸送中の振動や衝撃により破損や変形が生じるリスクがある。さらに、輸送時の影響による品質不良は施工不良や安全性の低下を招くだけでなく、現場での再手配や再施工が必要となり、工期の遅延やコスト増加の原因ともなる。
そのため、今回の実証実験では、自動運転トラックによる輸送において、荷姿や重量が不均一な建材の積合せ輸送における輸送品質の検証に加えて、貨物を積載した状態での幹線輸送における自動運転の走行ルートやリードタイムの確認を行う。

●実証概要
時期:2025年7月2日から2025年10月末日まで(全4回を予定)
場所:関西から関東にかけての高速道路上の一部区間
<行程>大和ハウス工業「奈良工場」(奈良県)→大和物流「海老名物流センター」(神奈川県)
役割
・大和物流:積載貨物の提供、輸送オペレーションの設計および提供
・T2:実証実験全体マネジメント、実験用自動運転車両の提供
トラック:T2が開発したレベル2(※3)自動運転トラック(ドライバーが乗車し、レベル2相当で実施)
積載:大和ハウス工業向けの住宅建材および住宅設備
検証内容
・荷姿・重量が不均一な建材の積合せ輸送における、自動運転トラックの輸送品質の検証
・貨物を積載した幹線輸送における、自動運転走行ルートおよび走行リードタイムの検証
・想定オペレーションパターンにおける有効性の検証


両社では、今回の実証結果を踏まえて、T2が2027年から開始を予定しているレベル4(※4)自動運転トラックの実現に向けて、まずはレベル2自動運転トラックによる定期運行の実現を目指す。また、対象となる輸送品目についても、大和物流が取り扱う建材以外の貨物へ順次拡大していく方針。
※1:集荷した貨物をまとめて大型トラックで別の拠点に運ぶこと
※2:工場や施工現場で使用する資材等の貨物をサプライヤーの拠点へ購買側が自ら引き取りに行く物流の形態
※3:ドライバーの監視のもとに行われる特定条件下での高機能自動運転(参照:国土交通省資料 https://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf)
※4:特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態