㈱富士ロジテックホールディングス(富士ロジテックHD)は10月31日、中京地区で展開する「動物用医薬品」の物流サービスを九州地区にも拡大すると発表した。
同社は一般的に工場内での作業が必要となる動物用医薬品の検品、ラベル包装、出荷判定といった業務を、倉庫内において一気通貫で行えるBPO(※1)サービスを中京地区で展開し、同分野で国内トップクラスのシェアを持つとしている。
今回、さらなる利便性向上のため、畜産業が盛んな九州地区でもサービスの提供を開始。消費地に近い場所でも取り扱いが可能になることで、顧客(荷主)の拠点や製品ユーザーの配置に併せた、より効率的なサプライチェーンの構築、運用をサポートする。
同社は今後のサービスエリア拡大にあたり、これまで中京地区で培った動物用医薬品物流に関する業務システムや管理ノウハウ等をプラットフォームとして活用し、全国の物流企業とのパートナーシップを広げていくとしている。ペット用として需要の高い都市部や、その他畜産業の盛んな地域での展開も検討している。
同社は動物用医薬品「専用」の物流サービス網として、物流拠点の選択肢を増やすことにより、利便性をさらに向上させるほか、今後、専用配送便といった新たなサービスも計画中。現在、同製品における同社国内物流シェアは17~18%(※2)で、2030年までに50%を目指すとしている。
※1:ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略
※2:「日経NEEDS業界解説レポート」を基に富士ロジテックHD調べ
海外で生産された動物用医薬品は、日本に輸入後、①検品、②外観検査、③品質試験、④国家検定、⑤ラベリング・包装、⑥出荷可否判定等の工程を経て、医薬品卸等に供給される。従来それらの作業はメーカーの自社工場または協力工場への委託で実施されてきたが、近年は輸送コストの削減、生産性の管理や効率化を目的に、一連の業務をアウトソーシングするケースが増えており、「2024年問題」によりさらに効率化が求められている。
また、既存の「福岡ロジスティクスセンター」で取り扱う通販製品やアパレル、加工食品等においても、富士ロジテックグループの各拠点との連携を強化し、在庫の持ち方、工程の生産性、輸送コストなど多面的な視点で顧客のサプライチェーン最適化をサポートしていくとしている。
倉庫内で検品~包装を行うことで、製造・物流拠点間の輸送を削減する。それら業務を1社でワンストップで提供することにより、メーカー(荷主)の管理工数も削減できる。
●【参考情報】九州の畜産産出額は増加傾向、ペット市場はコロナ禍も影響し成長中
動物用医薬品の国内市場規模は800億~900億円(※3)と言われ、約6割を畜産用が占めている。畜産が盛んな九州地区では、産出額が年々増加傾向にあり、2022年は8,978億円(※4)と前年比2.6%増だったほか、2024年度のペットフード市場は21年度比で16%増が見込まれている(※5)。新型コロナの影響でペットを飼う人が増えたほか、健康志向が高まり1匹当たりの関連消費額も増加している。
※3:日経NEEDS業界解説レポート
※4:九州農政局「令和4年農業産出額及び生産農業所得」
※5:矢野経済研究所調べ