サツドラホールディングス(サツドラHD)とヤマト運輸㈱は7月25日、パートナーシップ協定基本合意書を締結した。これにより、サツドラHDのグループ会社である㈱サッポロドラッグストアー(サツドラ)が運営する店舗と連携し、北海道固有の社会課題解決や持続可能な地域社会の実現を目指すとしている。

左よりヤマト運輸㈱ 執行役員 北海道統括の松井克弘氏、ヤマト運輸㈱ 代表取締役社長の長尾裕氏、サツドラホールディングス㈱ 代表取締役社長CEOの富山浩樹氏、㈱サッポロドラッグストアー 執行役員 店舗開発本部 本部長 兼 店舗企画部ゼネラルマネージャーの大内秀伸氏

北海道では、人口減少や少子高齢化をはじめとした様々な社会課題があるほか、その広大な土地や冬の積雪の影響により、特に地方部では物流網の維持が難しくなる可能性があり、両社は2021年11月からヤマト運輸の奥尻営業所をサツドラのサテライト店舗として日用品等の販売の実証実験を開始。2022年8月からは同営業所の集配車両を活用し、食品や日用品等を出張販売する実証実験を行っている。

今回の同協定締結を通じて、すでに実施している取り組みのみならず、新たな取り組みやサービスを開始することで北海道における持続可能な地域社会の実現に貢献するとしている。

●本協定の具体的な取り組み事項
(1)店舗利用客の利便性向上
サツドラ店舗で荷物を受け取ることができる「店頭受け取りサービス」や、サツドラ店舗で購入した商品を道内の自宅まで配送する「手ぶらでお買い物便」、サツドラ店舗の敷地内にオープン型宅配便ロッカー「PUDOステーション」(※1)を設置する等、顧客の利便性向上に向けた取り組みを行っている。今後新設されるサツドラ店舗は、あらかじめ「PUDOステーション」の設置が可能なスペースを確保した設計にするとしている。

※1:Packcity Japan(パックシティジャパン)が運営するオープン型宅配便ロッカー。駅やスーパーマーケット、ドラッグストア等の利用客の生活動線上に設置し、24時間都合のよいタイミングで宅急便の「受け取る」「送る」を便利に利用可能。

(2)小商圏地域における買い物環境支援
少子高齢化に伴い商圏人口(※2)が減少している地方部の住民の生活や買い物環境を支えるため、2021年11月からヤマト運輸の奥尻営業所をはじめ北海道内の4つの営業所(※3)内にサツドラのサテライト店舗を設置する実証実験に取り組んでいる。

今後サツドラが販売するプライベートブランド商品の販売も検討し、サテライト店舗で取り扱う商品の拡充を進めていくとしている。

※2:商圏に住む人口のこと。ドラッグストアのように日用品を扱う業態の場合、移動距離10分以内に住む人の人口を商圏人口としている。
※3:奥尻(おくしり)営業所(2021年11月から)、北海道幌延(ほろのべ)営業所(2022年11月から)、常呂(ところ)営業所(2023年1月から)、雄武(おうむ)営業所(2023年2月から)で実証実験を行っている。

(3)買い物困難者に対する支援
買い物困難者(※4)を支援する取り組みとして、2022年8月からヤマト運輸の奥尻営業所にある宅配集配車両を活用した移動販売専用車を運行開始。買い物困難者が居住する地区にサツドラ店舗で取り扱う商品(※5)を出張販売する実証実験を行っている。

2023年8月には移動販売専用車を新規導入する予定。より多くの商品を出張販売できる環境を構築し、買い物困難者に対する支援を拡充していくことを明らかにした。

※4:人口減少や少子高齢化等を背景とした流通機能や交通網の弱体化等の多様な理由により、日常の買物機会が十分に提供されない状況に置かれている住民。
※5:食品、日用品等(医薬品は除く)

(4)効率的な物流の実現
これまでサツドラ店舗への商品の納品は、店舗ごとにトラックを手配し輸送していたが、今回ヤマト運輸の輸配送ネットワークを納品フローの一部で活用することにより、生鮮食品を取り扱うサツドラ店舗宛ての精肉の納品やサテライト店舗宛ての納品で、多頻度小ロットによる配送が可能になるとしている。

今後もヤマト運輸の輸配送ネットワークを活用することにより、より効率的で安定した商品の納品を実現し、地域住民の充実した買い物環境の提供に貢献していくとしている。

フロー図

(5)その他付随するサービスの構築
両社の強みを生かしたさらなるサービスの開発を検討し、持続可能な地域社会の実現を目指すとしている。