長野県天龍村とココネット㈱、セイノーホールディングス㈱(セイノーHD)、㈱エアロネクスト、㈱NEXT DELIVERYは2月27日、天龍村中学校を起点として次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施した。

具体的には、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流“SkyHub”の社会実装の検討に向けて実施するもので、実施はNEXT DELIVERYが行った。

使用したドローンを前に、左よりエアロネクスト執行役員グローバルCMO/NEXTDELIVERY取締役の伊東奈津子氏、天龍村長の永嶺誠一氏、セイノーHD事業推進部ラストワンマイル推進チーム新スマート物流プロジェクト課長の須貝栄一郎氏、ココネット㈱グループ経営企画室室長の萩原哲也氏
物流専用ドローン“AirTruck”の着陸を見守る天龍村小学校の児童達
ドローン配送されたお菓子やカイロ等を永嶺天龍村長から受け取る天龍小学校の児童(天龍村小学校グラウンド)

●実証実験概要
天龍村は長野県の南端部にあり、東西に11.4km、南北に9.9kmの不整形をなし、東に熊伏山を最高峰にして四囲が800m級の山に囲まれた面積108.9平方キロメールの純山村。村の中央を天竜川が南流しており、その支流が造るV字渓谷の中に集落が点在している。高度経済成長以降、林業の長期凋落が原因で深刻な過疎化が進んでおり、買い物は飯田市へ出かける住民が多く、片道1時間程度の時間を要しているほか、少子高齢化が深刻な問題で、高齢化率が60%を超え、県内1位、かつ全国3位となっている。令和3年度末時点で食料品を扱う商店が2店舗しかなく、かつ店主の高齢化により存続が危ぶまれている状態で、そうした事態を打開するため、村では令和4年度に公設民営によるミニスーパー「満島屋」を開設した。買物難民が増加していることに加え、点在する集落までの道路も狭隘かつ代替道がない地域も多く、災害時等は長期間孤立してしまう恐れもある。

今回の実証実験により、村内の地域課題解決、ドローン配送導入による観光産業・経済の振興、地域雇用・人材育成・地域防災へのインフラ整備を推進していくとしている。

◎実施内容
今回の実証では中山間地域での災害時を想定し天龍村中学校に仮設ドローデポを設置して、エアロネクストが開発をした物流専用ドローンAirTruckを用いて避難所指定の天龍村小学校、天龍村保育所への救援物資と想定したカイロ、菓子、食料品を配送した。

実証実験に使用した日本発物流専用ドローン“AirTruck”
今回ドローン配送された救援物資と想定したカイロや菓子、食料品

※今回の実証実験は、ココネット㈱がプライムとなり、(一社)環境普及機構より令和4年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)として採択されている。