オルビス㈱は、主要物流拠点のオルビス東日本流通センターの直営店舗・B2B向け出荷ラインの刷新に伴い、重量計を搭載した最新AMR(自律走行搬送ロボット)を16台導入し、2月20日より本格稼働した。

日本国内ではまだ本格的な実用化例が少ないAMRを多数導入することで、省人化と効率化を達成し、倉庫内出荷作業の生産性向上を実現する。

オルビスは、2020年に実施した通販出荷ライン「T Carry System」における小型AGV330台導入や、今回のAMRの本格導入・実用化にとどまらず、今後も最新テクノロジーの積極活用によって物流システムの自動化、省人化を促進していくとしている。

●新出荷ライン概要
オルビスでは、サステナブルであることを前提とした自動化を達成するため、人とAMRが効率よく連携して最適なピッキングができるよう、オリジナルの重量計付きAMRを採用し、独自の仕組みを構築した。

オルビスの直営店舗・B2B卸し先向け出荷作業は、日々約500の品目の中から、1オーダー当たり平均して約20品目・約100ピース(サンプル含む)を出荷する特性がある。従来は、4拠点分のオーダーが割り当てられた重量計付きカートを、人が1台ずつ手で押して移動しながら当該商品が保管されている棚に移動し、ピッキングを行っていた。今回、新たに導入した独自開発のAMRは1台につき4拠点分の出荷データを受信すると、自動的に最適なルートで棚間を人やモノにぶつからず安全に巡行し、オーダーがかかった複数の商品棚に向かって順番に移動。全てのオーダー商品が揃った後、発送ステーションまで商品の入ったケースを運ぶところまでを自動化した(※)。また、AMRに重量計を組み込むことで、ピッキングと同時に重さによる検品を即座に実施、別工程での検品なしで高い精度のピッキングを完遂することが可能になった。
※棚から商品をピックしてケースに入れる作業は人が実施

全体的なシステム設計にあたっては、通販出荷ライン「T Carry System」の基本コンセプトである、「4つの“ない”」(作業者を「歩かせない」「待たせない」「持たせない」「考えさせない」)を踏襲。自律走行するAMRと、ピック棚にやってきたAMRの搭載ケースに商品を入れる役割の人の動きを効率よく連携させるために、商品保管棚スペースをゾーン化し、ゾーンごとにピッキングの作業者を配置するという形を用いた。さらに作業者の腕には次にピックすべき商品と棚の位置情報が表示されるウエアラブル端末を装着。これらの工夫により、旧出荷システムに比べ、同じ出荷能力に対して人員は25%削減、売上高に対する出荷作業費比率は約10%削減できる見込み。また、作業者がカートを押して長い距離を歩く必要がなくなるので、作業負荷の低減が期待できる。

●導入したAMRについて
今回、新出荷ラインで導入した重量計つきAMRは、パートナーである物流企業の㈱流通サービスと、マテリアルハンドリング企業の㈱椿本マシナリーが製造元のフォワードエックス㈱と協働し、新たに開発したもの。組み込んだ重量計は、重量計付きカートピッキングで実績のある㈱寺岡精工製のものを採用した。

フォワードエックス製重量計付きAMR