小松市(石川県)とセイノーホールディングス㈱(セイノーHD)、㈱エアロネクスト、㈱NEXT DELIVERYは12月21日、小松市松東地区で次世代高度技術の活用により新しい物流サービスの構築を目指した「中山間地域におけるドローン配送」の実証実験を実施した。

同実証実験は12月13日に小松市、セイノーHD、エアロネクスト、KDDIスマートドローンの4者が締結した「次世代高度技術の活用による地方創生に向けた連携協定」による取り組みとして、小松市の抱える地域課題の解決を目指してセイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流(※1)「SkyHub(※2)」の仕組みと技術を活用し、ドローン配送サービス事業を主体とするエアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYが行った。

雪景色の中、児童生徒への荷物を届けて飛び立つドローン
(松東みどり学園グラウンド)
ドローン配送を応援する児童生徒とカブッキー(松東みどり学園グラウンド)
実証実験に使用された日本発物流専用ドローン「AirTruck」

●実証実験概要
(1)背景と目的
小松市全体の高齢化率は28.7%、中山間地域では40%を超える地区が存在する(11月1日現在)。中山間地域の高齢化が進むことで、日常の買い物や薬の受け取り等での生活利便性の低下が懸念されている。

そこで物流サービスの維持・最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みづくりに民間企業と行政が協働して取り組む。

今回の実証実験は、新スマート物流の社会実装に向けて、地域のドローンに対する理解浸透と、電波強度や自然環境、障害物チェック等の社会実証に向けた調査を目的として実施する。

(2)実施内容
中山間地域での買い物支援、物資支援等を想定して、小松市松東地区のせせらぎの郷から松東みどり学園まで、日用品をドローン配送した。

せせらぎの郷から片道約3kmの距離を約7分で、エアロネクストが開発した物流専用ドローン「AirTruck(※3)によって小松市イメージキャラクター「カブッキー」のノベルティグッズが、松東みどり学園グラウンドで待つ約40人の児童生徒とカブッキーの元に届けられた。ドローンによって空から届けられたクリスマスプレゼントのようだと生徒から大歓声で迎えられたとしている。

今後も連携協定に基づき、4者が相互に連携、協力するほか、地域の事業者とも連携し、市の課題や市民のニーズに沿ってドローンをはじめとする次世代高度技術の活用によるドローン配送と陸上配送を融合した新スマート物流「SkyHub」の社会実装に向けた検討を進め、小松市における地域の課題解決と活性化に寄与していくとしている。

※1:新スマート物流
物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム(O.P.P.)による共創で実現を目指す。

※2:新スマート物流「SkyHub」
エアロネクストとセイノーホールディングス㈱が共同で進める既存物流とドローン物流をつなぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流の仕組み。ドローン配送が組み込まれること、共同配送を実現する、オープンプラットフォームかつ標準化した仕組みである点が特徴。SkyHubの導入は物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進する上でも有意義なものとしている。

※3:AirTruck
エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローンAirTruck。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITYRにより安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機。試作機は日本各地の実証実験で飛行しており、試作機での2021年度国内実証実験における飛行実績ではトップの実績を持つとしている。