コクヨ㈱は7月28日、カウネットを中心とするコクヨグループの物流機能を担うコクヨサプライロジスティクス㈱(KSL)が、自社拠点である首都圏IDCでゲーミフィケーションを通じた物流現場の人材定着・働きがい向上を目指す実証実験を7月から開始したと発表した。

今回の取り組みは、KSLの現場スタッフの声と産学連携を通じて得た学生の提言を起点に、コクヨのIoT文具「しゅくだいやる気ペン」開発チームが持つ習慣化とやる気の見える化のノウハウを物流現場に応用したもの。2026年12月まで実証実験を重ね、2027年1月の本格導入を目指す。

●背景:物流現場が抱える「人」の課題
現在、物流業界は日常を支える社会インフラとして重要性を増しており、KSLの現場スタッフも日々顧客へ確実に商品を配達するという使命感を持ち、やりがいを持って業務に取り組んでいる。一方、業界全体が労働人口の減少や離職率の高止まりといった社会課題に直面しており、KSLでは現場スタッフへのヒアリングを重ねる中で、以下の課題が明らかになった。

①個人の努力や成長の「見える化」
現場スタッフは、日々高い正確性とスピードが求められる業務を担っている一方で、日々の作業実績や自身の努力が数値として可視化されにくい側面があり、個人の頑張りや成長をより直接的に実感・肯定できる環境づくりが求められていた。

②「他者競争」ではなく「自己成長」への期待
過去、モチベーション向上を目的に品質や生産性の相対的なランキング掲示を行ったが、スタッフからは「他者と競うのではなく、自分がどれだけ頑張ったのかを純粋に実感したい」といった日々の歩みを肯定してほしいという声が寄せられた。こうした現場の声と並行して、KSLが2021年度から継続している「物流×産学連携プロジェクト」においても、学生から「物流現場をより魅力的で、自律的に働ける場所にしたい」という提言が寄せられており、現場と学生の提言の双方から、課題解決にはスタッフ1人ひとりが本来持つやりがいをさらに引き出し、成長をより後押しできる環境づくりや「働きがい」の向上を中心に据えることが不可欠という気づきが生まれた。これをきっかけに物流現場の働きがい向上を目指すプロジェクトを発足し、実証実験に向けての準備を進めてきた。

●実証実験の特徴
①「自己承認」を軸にしたUI/UX設計
他者競争やスピード偏重の評価を排し、倉庫管理システムから取得した作業データ(ピッキング件数・作業時間等)を個人の「経験値」や「成長グラフ」としてウェブアプリ上に蓄積・可視化する。自ら手の届く目標を設定し、過去の自分と比較することで達成感を得られる「絶対評価×自己承認」の仕組みをUI/UXの観点から構築する。

②コクヨグループのノウハウを物流現場へ応用
取り組みの推進にあたっては、通販カウネットのWEB開発に携わる若手エンジニアとの共創に加えて、コクヨのIoT文具「しゅくだいやる気ペン」開発チームの協力を得ている。グループ内で培われた「習慣化」と「やる気の見える化」のノウハウを物流現場に応用し、現場スタッフが自発的に楽しみながら業務に取り組める仕組みを検証・実装する。プロトタイプ版では日々の作業実績に応じてアプリ内で「コイン」が貯まり、そのコインを使って「植物を育てる」といった、楽しみながら継続できる仕組みを取り入れつ。なお、アプリ内の具体的な演出や仕様は現時点でのものであり、実証実験を通じた現場の反応やフィードバックを踏まえて、随時アップデートしていく予定。

③産学連携での提言を起点とした魅力ある現場づくり
同プロジェクトは、「物流×産学連携プロジェクト」を通じた各大学の学生からの提言を起点としている。今後は2021年度から連携を続けている千葉商科大学の大下ゼミと共に、これまでの「学びの場の提供」から、産学連携で提言されたアイデアを具体的に実現していく活動へと発展させていく。

●実証実験の概要
今回の実験では、倉庫管理システムから取得した作業データ(ピッキング件数、作業時間等)を活用し、検証を行う。

目的:作業データを現場スタッフの「成長の見える化」に活用し、働きがいと定着率の向上を図る
検証内容:UI/UX上の価値検証/技術的な実現可能性の検証/本格展開に向けた判断材料の整理

<実証実験で達成を目指す目標値(KPI)>
①エンゲージメント指標
「今日もいい仕事ができた」実感度:80%以上
アプリ内アンケートで、ポジティブな回答をしたスタッフの割合

②アプリの継続利用率
実証実験期間中継続的にログインしたスタッフの割合:70%以上

実証拠点:コクヨサプライロジスティクス株式会社 首都圏IDC
実施期間:2026年7月~2026年12月
本格導入目標:2027年1月
監修・連携:コクヨ「しゅくだいやる気ペン」開発チーム、千葉商科大学

KSLは同プロジェクトを通じて、物流現場における前向きな行動や仕事への誇りにつながる新たな価値の創出を目指し、物流業界の構造的課題の改善と持続可能な物流の実現に向けた活動を進めていく。

●コクヨ「しゅくだいやる気ペン」について
ペンの動きをセンサで検知し、学習時間や取り組みをスマートフォンアプリで可視化するコクヨのIoT文具。子どもが自発的に学習に取り組む習慣化を支援する。2025年、㈱セガ エックスディー主催の「Gamification Award 2025」において「Best Solution Award」を受賞。
https://www.kokuyo.com/stationery/series/yarukipen/

●Gamification Award 2025受賞 プレスリリース
https://www.kokuyo.com/news/release/20251125_02/