九州物流研究会と㈱Hacobuは11月20日、福岡・佐賀における共同輸配送の取り組みを一層強化するため、実証実験「物流DXツールを活用したN対Nの相互配車事業」を開始したと発表した。

同実証では、同研究会のメンバーであるイオン九州㈱をはじめとする小売6社分の膨大な輸配送ルート候補を、Hacobuが提供するクラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズのデータ活用基盤で解析する。これにより、深刻化するドライバー不足や環境負荷といった物流の課題に対応し、持続可能な共同輸配送モデルの確立に取り組む。

物流領域では、いわゆる「2024年問題」に象徴されるように、労働力不足やドライバーの高齢化、環境規制等の課題が深刻化している。2030年度には福岡県でドライバーが36%、佐賀県で40%不足すると試算(※1)されており、このままでは持続的な物流サービスの維持が困難となる懸念も指摘されている。

そうした状況では、複数企業がトラックや拠点を共同利用し、輸配送を効率化する共同輸配送の手法が注目されており、労働力不足の緩和やCO2排出量削減につながることが期待される。

九州では、2022年8月に地場の小売企業・物流事業者が参画する「九州物流研究会」が発足。物流を協調領域と位置づけ、共同輸配送に関する協議・実証を行っている。同研究会では、店舗配送や商品調達など複数の分野において共同輸配送を実施し、トラックの積載率改善、走行距離の削減等の効果を上げている。

一方、参加企業や拠点が増えるほど、候補ルートは指数関数的に増加し、人手による検討には限界が生じている。九州物流研究会参加企業のうち、福岡・佐賀に拠点を持つ6社のデータを組み合わせると、人手では処理しきれない膨大な候補が発生し、デジタル活用が不可欠となっている。

そうした課題に対して、九州物流研究会はHacobuと連携し、データに基づく共同輸配送の検討を進める。Hacobuはクラウド物流管理ソリューション「MOVO」シリーズや、物流DXコンサルティングを提供しており、MOVOの利用事業所(※2)は3万7,000超、月間トランザクションは300万件超となっている。MOVOシリーズには、入荷・輸配送・動態といった標準化された物流データが日々蓄積されており、それを活用することで、各社が個別にデータを持ち寄る必要がなくなり、共同輸配送の検討をスピーディかつ効率的に進められる環境が整っている。

●「物流DXツールを活用したN対Nの相互配車事業」実証実験の概要
◎目的
①デジタルを活用した効率的な共同輸配送の実現
複数企業が参加すると輸配送ルートの組み合わせは膨大になり、手作業での検討は困難になる。同実証では、「MOVO」シリーズに蓄積された拠点・時間・走行実績データを活用し、膨大なルート候補の中から実現可能性の高いパターンを抽出する。

同実証は、メーカー(調達先)500社以上、小売物流センター11か所(常温品目を対象)、小売店舗385か所以上を対象に実施する。それらの拠点間で発生する集荷・輸配送コースを組み合わせ、共同化できるルートを選定する。候補は約200万通り(Hacobu試算/※3)に上ることが判明しており、デジタル活用が不可欠となっている。

具体的には、トラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」に蓄積された入出荷時間や拠点情報、動態管理サービス「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」に蓄積された経路や車格(車両サイズ)等のデータを、共同輸配送支援サービス「MOVO X-Data(ムーボ・クロスデータ)」で統合・分析する。これにより、膨大な候補の中から効率的に実現可能な輸配送パターンを導き出す。

②地方発の全国展開モデルの検証
今回の取り組みは福岡・佐賀を起点に、将来的には九州全域、さらには全国に展開可能な共同輸配送モデルの社会実装を目指す。

◎想定されるユースケース
①メーカー同士の共同納品:複数メーカーの荷物を1台の車両に混載して、共同で物流センターへ納品

②小売によるミルクラン集荷:小売の車両で複数メーカーから商品を集荷

③複数小売間の「共同輸配送」(店舗配送利用):小売A店舗へ納品した後、小売Bセンターで荷物を積み小売B店舗へ納品

④メーカーと小売の「共同輸配送」(店舗配送利用):物流センター納品車両を、そのまま店舗への納品車両として利用

⑤店配車両の帰り便利用(バックホール):小売B店舗へ納品した車両の帰り便を利用し、近隣のメーカーCの荷物を集荷

◎今後の予定
・MOVO未導入店舗・拠点への導入、データ収集
・候補ルート探索
・共同輸配送の実行可能性を検討
・2026年1月~2月に実運行を予定

◎参加企業
<小売企業>
イオン九州㈱、㈱イズミ、㈱コスモス薬品、㈱サンリブ

<物流事業者>
イオングローバルSCM㈱
㈱MLS

<分析支援>
㈱Hacobu

●今後の展望
九州物流研究会とHacobuは、今回の実証を皮切りに取り組みを順次拡大し、2026年には長崎県、2027年には大分県へと展開する計画。将来的には九州全域、さらには全国規模で持続可能な共同輸配送モデルの確立を目指す。

※1:出典 NRI「2024年以降も深刻化する物流危機」2024年6月 https://www.nri.com/jp/knowledge/report/2024forum375.html
※2:利用事業所数とは、MOVO 導入拠点に加えて、MOVO を利用する事業所のIDを合計した数字
※3:「約200万通り」は、本実証で対象となる6社分の拠点・時間帯・車格等を前提にHacobuが試算した概算値であり、実運行条件によって変動する可能性があります