㈱日立製作所は4月27日、欧州を中心に北米、東南アジアで高速リニア搬送システムや高精度組立、および高速画像検査技術を含むロボット活用ラインビルティング事業(ロボティクスSI事業)を手がけるドイツのMA micro automation GmbH(エムエー・マイクロ・オートメーション)の全株式を、ドイツのMAX Management GmbH(MAX Automation SEの子会社)から 7,150万ユーロ(約119億円※1)で取得する株式譲渡契約を4月26日に締結したと発表した。

今回の取引は各国規制当局承認後の2024年下半期(2024年7月~12月)にクロージングする予定としている。

買収後、MA micro automationは、北米、欧州、東南アジアにおいて先進的な自動化ソリューションおよびデジタル技術を生かしたロボティクスSI事業のマーケットリーダーである米国のJR Automation Technologies, LLC(JRオートメーション)と一体で、共にグローバルに事業を拡大していくとしている。

MA micro automationは超小型組立のロボティクスSI(自動化ソリューション)を提供するドイツの企業。最新かつ独自の高速・高精度の自動化ノウハウと光学画像検査技術を組み合わせて、成長が著しいメディカル分野の、コンタクトレンズ、体外診断や糖尿病向けの診断用消耗品等の医療用部品の射出成型(※2)による製造、組立、試験に対応している。

2003年に設立され、2013年にシーメンス(※3)からのカーブアウトによりMAX Automationグループの傘下に入った。

一方、JRオートメーションは、インテリジェントな自動製造技術およびソリューションをグローバルかつ様々な産業(自動車、ライフサイエンス、eモビリティ、コンシューマ向け等)に提供している。また、北米、欧州、東南アジアに20以上の拠点、および約200万平方フィート(18万5,806㎡)の利用可能な建築およびエンジニアリングフロアスペースを有している。今回の買収により、JRオートメーションは欧州における事業基盤と、欧州およびメディカル分野の新たなケイパビリティを獲得することによって、顧客への提供価値を高める。

また、JRオートメーションとMA micro automationのロボティクスSIを軸とし、日立が2022年8月に買収したFlexware Innovation, Inc.(※4)のMES(※5)、さらにはHitachi Digital ServicesのERP(※6)やGlobalLogicのデジタルエンジニアリングまで、現場と経営をデジタルでつなぎ全体最適化を図る「トータルシームレスソリューション(※7)」の提供力を高め、顧客の事業価値の向上に貢献する。

さらに、JRオートメーションとMA micro automation、日本を中心に事業展開する㈱日立オートメーションで、日立グループはロボティクスSI事業のグローバルリーダーを目指すとしている。

日立グループのロボティクスSI事業を軸としたトータルシームレスソリューション戦略

MA micro automationによるメディカル分野の製造ライン

※1:ユーロ=167円で換算
※2:プラスチックの一般的な成型方法。加熱して柔らかくなったプラスチックを金型に押し込み、冷やして固形にするもの。
※3:「シーメンス」は独国Siemens Trademark GmbH & Co. KGの日本およびその他の国における登録商標または商標。
※4:2022年9月6日発表の日立ニュースリリース「日立、MESやSCADAなど製造現場系OT・ITが主力の米国SI企業を買収」
https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2022/09/0906b.html
※5:MES (Manufacturing Execution System): 製造実行システム
※6:ERP (Enterprise Resource Planning): 統合基幹業務システム
※7:「トータルシームレスソリューション」は㈱日立製作所の日本と米国における登録商標。