大日本印刷㈱(DNP)は1月30日、宅配・通信販売・物流等の事業者や生活者が使用する配送伝票について、一部の製品ラインナップで使われているプラスチックシートを紙に切り替えることで、より環境に配慮した製品を開発し、1月に本格的な販売を開始すると発表した。

今回の製品は、ヤマト運輸㈱の「複数の複写式配送伝票を一体化した配送伝票」(複数口伝票)で2023年10月より採用されている。同伝票は、同一の配送先に複数の荷物を届ける際に使用するもの。DNPは複数口伝票の送り状の記入面に使われているプラスチックシートを紙に切り替えることで、サプライチェーン全体での温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1~3)(CO2換算)を現行品から約40%削減した(※1)。

(左)複数口伝票のイメージ、(右)1つづりの複数口伝票を分けて、複数の荷物に貼り付けることができる。

デジタルネットワークの進展とスマートフォン等の情報端末の普及に加え、コロナ禍での外出制限等を経てオンラインショッピングが定着し、配送量の増加が続いている。国土交通省が発表した「令和4年度 宅配便・メール便取扱実績」によると、宅配便取扱個数は50億588万個で、前年度から約1.1%、約5,265万個増加している(※2)。

それに応じて、荷物に貼付する配送伝票の数量も増加している。その一種である複数口伝票は、2個口以上を発送する場合に使用されている伝票で、送り先ごとに接着されており、剥がす際の破れを防ぐために、従来はプラスチックシートが使用されていた。GHG排出量の削減に向け、DNPは今回、プラスチックシートを強度の高い紙に切り替えることで、環境に配慮した複数口伝票の開発に成功した。

●環境配慮した配送伝票の特長
①複数口伝票の送り状に使用されてきたプラスチックシートを耐水性の高い紙に切り替えた。それによって、現行品と比較して、サプライチェーン全体でのGHG排出量(Scope1~3)を約40%削減する。

②複数枚の送り状が接着されている複数口伝票について、プラスチックシートよりも強度が不足している紙を使用する場合、同じ厚さ等の材料構成では送り状を剥がす際に破れるという課題があった。その課題に対してDNPは、紙や接着剤の種類等の材料構成を最適化するほか、製造工程を見直すことで、現行品と同等の品質を有し、かつ環境に配慮した製品を実現した。

※1:3つづりの複数口伝票の場合(同社調べ)

※2:令和4年度 宅配便・メール便取扱実績について(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000281.html