富士通㈱と㈱YE DIGITAL(YEデジタル)は1月29日、ロジスティク分野の社会課題の解決に向けて両社が保有する物流センター関連サービスを相互に提供する協業に合意したと発表した。労働力不足の解消や持続可能なサプライチェーンの強化に貢献することを目指すとしている。

今回の合意を受けて、富士通の物流センターの業務全般を効率化するWMS(Warehouse Management System:物流センター管理システム)関連サービスとYEデジタルの倉庫業務を自動化するWES(Warehouse Execution System:倉庫実行システム)「MMLogiStation」を、物流事業に携わる顧客へ提供する。また、富士通は物流センター構築の企画支援、および既存センター内の業務改革に向けた計画策定等を幅広く支援することで、物流センター業務における自動化設備の導入障壁を軽減するほか、設備の統合管理により業務の自動化と効率化を促進し、物流センターのパフォーマンス向上を実現する。

物流業界では、ECの利用拡大による物量の急増、市場ニーズに合わせた多品種小ロット・時間指定納品等、物流サービスのニーズが多様化し、かつ変化も激しくなっている。さらに少子高齢化による物流労働人口の減少や、2024年問題に代表される労働時間制限の影響で、物流に携わる人材不足が深刻化している。その結果、近い将来、店舗に商品が並ばない、自宅へ商品が届かない等、物流業務がボトルネックとなりサプライチェーンの持続性に大きな影響を及ぼす可能性がある。

そのような背景から、ロジスティクスを構成する重要なポイントであり、サプライチェーンのボトルネックとなりうる物流センターでは多様化する市場ニーズへの対応や人材不足の解消に向けて、属人化や紙の伝票による業務のデジタル化や様々な物流データの可視化とリアルタイム作業指示、マテハン機器やロボット等の自動化設備導入等、物流センター内オペレーションの自動化による生産性向上と作業品質向上が求められている。しかし、物流センターの抱える課題は複層的であり、個々に対応策を検討しても根本的な解決に至らないことが多く、施策に対する効果を最大化するためには物流センター内のオペレーション全体を見据えた対応が必要となっている。

●協業概要
物流センター関連サービスやロボット等の自動化技術、業務知見等の両社の強みを合わせ、物流事業に携わる顧客が持つ複層的な課題を解決するサプライチェーン全体を俯瞰した物流センターのあるべき姿をデザインし、WMSとWESの最適な組み合わせを提案し、導入・運営までを支援する。

①富士通のWMS関連サービス
様々な業種の物流センターの業務管理に対応し、複数拠点を管理するとともに、柔軟な拡張性を持ち、蓄積された業務データの可視化・分析が可能なWMSを提供するほか、コンサルティグサービスとして物流センター構築における企画や、センター内業務および配送業務の改革・改善の実行計画や業務コストのKPI設定等、顧客のロジスティクス業務の変革実行も支援する。

②YEデジタルのWES「MMLogiStation」
WMSと自動化設備のリアルタイム制御を行うWCS(Warehouse Control System:倉庫制御システム)の間で、物流現場の制御・管理を担う。従来WMSが行っていた制御と管理をWESに分離することで、ロボット・自動化設備の導入や作業手順の変更等、業務の変化にスピーディーに対応することが可能となる。

WMSとWESの提供により、物流センターに自動化設備を効果的に導入し、現場業務の効率化を実現するほか、納品・出荷する物品や作業者、設備など様々な統制指示が必要なセンターの管理業務を統合化することで、作業員の適正配置により労働力不足解消が可能となる。また、自動化設備の効率的な運用により、ドライバー不足の解消施策の1つである輸送車両の荷待ち時間短縮も可能となる。

富士通とYEデジタルは、顧客の物流センター全体のパフォーマンス向上により、物流センターを起点としたロジスティクス分野のインフラ強靭化を図ることで、物流業界の2024年問題への対応と、持続可能なサプライチェーンの強化に貢献する。