㈱Mujinは4月6日、知能ロボットとAGVを連携させ、多品種コンテナ・段ボール(ケース)の搬送・積み下ろし・積み付け/棚入れを、最適なタイミングで実行する「多品種ケースハンドリングシステム」を開発し、「第52回日本産業技術大賞」審査委員会特別賞を受賞したと発表した。
工場や倉庫においてリアルタイム動作生成により多品種ケースの移載を行う知能ロボットと、搬送を担う複数台のAGVを統合制御することで初めて実現したシステム。
人手不足が深刻化する中、物流・製造現場で多く存在するサイズ・形状・蓋の有無が異なる多品種ケースハンドリングは自動化が難しく、人手に頼らざるを得ない状況があった。通常産業用ロボットを稼働させるには、カメラや周辺機器との連携、およびロボットの一挙手一投足を設定するプログラミング作業を要するため、多品種を扱うケースハンドリングは高難易度の複雑な周辺機器連携と条件ごとの細かな動作設定が必要だからとしている。
その課題を解決するため、同社は独自のロボット知能化ソフトウェアを活用して「多品種ケースハンドリングシステム」を開発した。
●「多品種ケースハンドリングシステム」の特徴
(1)多品種ケースハンドリング知能ロボット
根幹となっているのは、多品種ケースハンドリングを実行する知能ロボット。高精度な3Dビジョンによってケースの形状・位置・姿勢や周辺環境をリアルタイムに認識し、ロボット知能化ソフトウェアによって環境やロボットの可動域等の制約を踏まえた最適動作計算を行い、ロボットを直接制御することで実現する、臨機応変に対応が可能なロボットシステム。多種多様なケースに対しても、最適なロボット動作を実現し、積み下ろし・積み付け/棚入れを実行することが可能。積み付け時には、積載効率、後工程における取り出し順序を考慮した最適な荷姿を計算した上で実行する。
(2)知能ロボットとAGVの一括制御
同システムのもう1つの特徴が、知能ロボットとAGVのロボット知能化ソフトウェアによる一括制御。工程間搬送を担うAGV数台から数十台の群制御に加えて、知能ロボットと一括で制御することで前後工程の進捗状況を把握しながら、最適なタイミングでの知能ロボットとAGVの連携稼働を実現する。
システム全体の制御を1社で担うからこそ、全体レイアウトの最適化やスムースな機器連携に繋がり、能力向上に貢献しているほか、ソフトウェアを通してシステム全体の稼働状況を遠隔でも確認できるため、予期せぬ事象発生時にも、即座に状況を把握し、迅速な対応が可能な体制を構築している。
ロボット知能化ソフトウェアによって実現した同システムは、人手不足を補い、事業継続と産業発展に貢献するだけでなく、重量物の運搬作業を自動化することで、作業者の方にとって働きやすい環境整備も実現する。また、臨機応変な知能ロボットと、レイアウト変更が容易なAGVを用いることで工程変更が頻繁に発生する環境においても機器を都度廃棄することなく継続利用が可能なため、環境保全にも貢献する。
●日本産業技術大賞概要
同賞は㈱日刊工業新聞社が主催し、2022年1月1日から12月31日に完成した技術成果、または成果をあげた技術のうち以下に該当するものを対象とし、表彰する賞。
(1)産業の発展に貢献度の高い大型産業設備、構造物の開発
(2)独創的、画期的で産業・社会に変革をもたらしたソフトウェア、システム、技術の開発
(3)地球環境保全に大きな効果を発揮した設備の開発
●日刊工業新聞社様による本賞の募集要項より抜粋
https://corp.nikkan.co.jp/p/honoring/nihonsangyogijyutsutaishou