㈱豊田自動織機は2月1日、(一財)省エネルギーセンター主催の「2022年度省エネ大賞(省エネ事例部門)」において、同社安城工場(愛知県安城市)で取り組んだ「空間除電による工場内空調管理の緩和」で最高位の「経済産業大臣賞」を受賞したと発表した。経済産業大臣賞の受賞は今回で2度目。同賞は事業者や事業場等における優れた省エネの取り組みや、省エネ製品等を表彰する制度。
電動車用の電子部品を生産する安城工場では、静電気による製品の破損を防ぐため、従来、空調による厳しい湿度管理を行っていた。年間を通して工場の全館空調を実施しており、特に冬場は加湿を行うことにより空調エネルギー使用量(LNG使用量)が増加する等、工場の省エネ活動の課題となっていた。
今回、静電気を全館加湿により抑える方式から、空間除電装置※によって対象工程のみの静電気を中和する「空間除電」方式に置き換える取り組みを生産技術部門・品質管理部門・製造部門が一体となり進めた結果、工場内の湿度管理の緩和を実現し、空調エネルギー使用量を40%削減することができた。その取り組みが高く評価されたとしている。
※イオンを空気中に放出することにより静電気を中和するもの
●受賞概要
テーマ:「空間除電による工場内空調管理の緩和」
表彰:経済産業大臣賞
概要:電動車両用電子部品の生産を行う安城工場では、品質管理の観点から年間を通じて工場全館空調を行っており、なかでも製品の静電破壊防止を目的とした湿度管理は、特に湿度が下がる冬場に大量の蒸気を使用するため、工場の省エネ活動の取り組みにおける課題となっていた。静電気対策は通常湿度管理で行うが、実際に静電気対策を必要とする工程が工場容積に対して1%程度と非常に小さい点に着目し、蒸気によらず除電が可能なイオナイザや空間除電装置の適用について検討を行い、モデルラインでの実証評価を経て改善策を見出した。特に、品質管理の厳しい電子部品においては、生産技術部門、品質管理部門、製造部門等が一体となって様々な除電方式の検討を行い、必要エリアのみに空間除電装置を導入することで、LNG使用量40%(原油換算160kL/年)削減を達成した。