㈱ダイフクは9月9日、㈱JDSCと共同で、AIエージェントが人からの指示や周囲の状況を理解し、ロボットの動作を自律的に計画・実行するフィジカルAI技術を検証したことを明らかにした。今回の取り組みは、物流現場における完全無人化を見据えたもの。シミュレーション環境における評価では、学習していない商品と仕分け先の組み合わせに対して成功率97%を達成した。今後、実環境での実証を進めることでシステムの立ち上げ期間の短縮や品目変更への対応力向上が期待される。
なお、今回の取り組みは、アマゾン ウェブ サービス ジャパン(合)(AWSジャパン)が実施する「フィジカルAI開発支援プログラム by AWSジャパン」の採択プロジェクトとして進めたもので、2026年8月31日にAWSジャパンが開催した同プログラムの成果発表会にて発表している。
物流現場では自動化が進む一方、入荷から出荷までの各工程には、依然として人による判断や手作業が残っている。また、従来のシステムは事前に登録・ティーチングした対象や動作に依存するため、品目や作業内容の変化への対応が課題となっている。物流のさらなる自動化に向けて、周囲の状況を理解し、未知の対象や作業にも対応できる自律的なシステムや装置が求められている。
ダイフクとJDSCは戦略的パートナーシップのもと、ダイフクが持つマテリアルハンドリングに関する豊富な知見・製品・ソリューションと、JDSCが持つAI・データサイエンス、データエンジニアリング等の知見を組み合わせ、AIエージェント、デジタルツイン、先進ロボティクス等を活用した革新的なマテリアルハンドリングシステムの開発に取り組んでいる。その一環として、現場の状況に応じて装置が自律的に判断・行動できる仕組みの実現を目指し、今回の検証を実施した。
●取り組み概要
物流工程のうち、人手の介在が残るピッキング・仕分けを対象に、作業者が自然言語で指示すると、AIエージェントが指示内容と周囲の状況を踏まえ、作業をロボットが実行可能な単位に分解し、自律的に制御するアーキテクチャを構築した。事前に登録されていない作業への対応を目指している点が特徴としている。

評価にあたっては、 AWSのフィジカルAI専門チームによる技術支援のもと、 Amazon SageMakerをはじめとするAWSのサービス群を活用し、AIモデルの学習からシミュレーション環境での検証までのサイクルを高速に繰り返せる開発基盤を構築した。これにより、同アーキテクチャの構築から評価までを約4か月という短期間で実現している。
●検証結果
今回の取り組みでは、ユーザー指示に対して柔軟に対応できるかを確認にするため、物流における仕分けタスクをシミュレーション環境で検証した。学習していない商品と仕分け先の組み合わせで100回試行した結果、97回で適切な仕分けに成功した。現場の変化に柔軟に対応できるフィジカルAIシステムの実現に向けた成果であり、今後、実環境での実証を進めることで、システムの立ち上げ期間の短縮や品目変更への対応力向上が期待される。

●今後の展望
ダイフクは今後、JDSCとの共同開発をさらに進め、シミュレーション環境で得られた成果を実際の物流・生産現場での実証につなげていく。フィジカルAIによって、装置が自ら作業を組み立てて実行できる仕組みを実装し、物流オペレーション全体の高度化を目指すほか、物流・製造をはじめとする基幹産業の変革に取り組んでいく。

