㈱Mujin Japanは9月3日、自動車電装部品メーカーの㈱松田電機工業所において通い箱デパレタイズロボット2台を導入し、混載通い箱の入荷・入庫工程を自動化したと発表した。

Mujin調べでは、中小製造業においてサイズや形状、積載状態が異なる混載通い箱をロボットで自動荷下ろしする事例は初となる。MujinOSを基盤とするフィジカルAI技術により、これまで人手に頼ってきた複雑な荷下ろし作業を自動化した。

●導入の背景:構内物流に残されている自動化の課題
Mujinによると、自動車部品工場では、複数のサプライヤーから納入される多様な部品が通い箱(コンテナ)に収納され、混載パレットとして搬入される。入荷から保管、生産工程への供給、出荷まで、構内物流は通い箱単位で運用されている。一方、混載通い箱パレットの仕分け工程では次の課題があったという。

形状やサイズが異なる通い箱:通い箱には様々な形状やサイズがあり、経年劣化による変形も見られる。
無数に存在する積載パターン:箱の種類や積載位置、向き、箱同士の隙間がパレットごとに異なる。
安定した把持の難しさ:ロボットが把持できる箱の縁は限られ、箱ごとに適した把持位置や動作を判断する必要がある。

このため、従来のティーチング方式では自動化が難しく、重い通い箱の荷下ろしは人手に頼ってきた。松田電機工業所は、地方工場における採用難への対応と、生産技術・物流の高度化を進める一環として、従来自動化が難しかった混載通い箱の荷下ろし工程の自動化に踏み切った。

●導入システムの特長:フィジカルAIで混載通い箱の荷下ろしを自動化
今回、MujinOSを搭載したロボットを導入したのは、入荷時の混載パレットからの荷下ろし工程と、完成品を自動倉庫へ入庫する工程の2か所。

①3D認識によるデパレタイズ
ロボット上部に設置した3Dビジョンが混載パレットをスキャンし、MujinOSが通い箱の位置や形状、把持に必要な縁を高精度に認識する。その情報をもとに、把持位置とロボットの動作経路をリアルタイムで計算し、荷下ろしを行う。あらかじめ積載パターンを固定できない混載パレットからも、通い箱を自律的に取り出すことができる。

②かんばんの読み取りと向き整列
入荷工程では、ロボットが通い箱を把持した後、側面にあるかんばんをスキャンする。かんばんを確認できない場合は、箱を回転させて別の面をスキャンし、かんばんを読み取る。単に箱を取り出すだけではなく、かんばんを読み取り、後工程に適した向きに整えて供給できる点が同システムの特長。

③可変ロボットハンドによる多品種対応と拡張性
ロボットハンドは、箱のサイズに合わせて爪幅を自動調整する。複数規格の通い箱にも、ハンドを交換せずに対応できる。導入後に新たな箱種や品番が追加された場合も、設備全体を作り変えることなく対応範囲を広げることが可能。生産品目の変化等、将来的な物流条件の変動にも対応できるため、自動化設備を長期的な経営資産として活用できる。

●導入効果:省人化と作業負荷の軽減
松田電機工業所は、独自の改善活動「IM(Innovation Movement)」を通じて生産技術や物流の高度化に取り組んできた。今回の導入により、作業者の負担を軽減するほか、より付加価値の高い業務へ人材を配置できる生産体制の構築を実現。以下の導入効果が生まれていると明らかにした。

・対象工程の作業人員:3人から0人へ
・1日当たりの荷下ろし箱数:5,000箱
・作業者が手で持ち上げていた総重量:1日当たり約25t
・年間削減工数:5,856時間/年

●今後の展望:中小製造業の新しい自動化モデルへ
松田電機工業所は、既存工場の物流動線を大きく変えることなく、特に負荷の大きい混載通い箱の荷下ろし工程を自動化した。MujinOSを搭載したロボットを既存ラインに組み込むことで、作業負荷の軽減と安定した物流運用を実現している。Mujinによると、今回の事例は投資規模やスペースに制約のある中小製造業にとっても導入しやすい、現実的な物流自動化モデルとなると指摘する。

松田電機工業所は今後、入荷から生産、出荷までの物流工程全体の高度化を視野に入れている。Mujinは今回の事例を通じて、従来自動化が難しかった混載・多品種の荷役工程を自動化し、人手不足や属人化といった課題を抱える日本の製造業の競争力強化を支援していくとしている。

●導入事例動画
https://youtu.be/I3QkeGhEHhM?si=nGBFNRX0eniIIHYK

●ユーザー企業概要
企業名:㈱松田電機工業所
設立:1958年4月
代表者:代表取締役社長 後藤尚久氏
ウェブサイト:https://matsudadenki.co.jp/

松田電機工業所は自動車用スイッチを中心とした自動車部品メーカー。1946年の創業以来、自動車用スイッチ部品の製造を担い、製品設計から金型・組立工程の生産準備、部品・組立製造までを一貫して手がけている。近年は、IoT、ロボティクス、DXを活用した生産性・品質保証の向上にも取り組んでいる。