㈱イトーキは11月5日、物流業界における人手不足と需要拡大という課題に対応するため、日本オラクル㈱の「Oracle Autonomous AI Database」と「Oracle Cloud Infrastructure(OCI) Data Science」を基盤に、自動物流倉庫の稼働データを収集・AI解析して故障の兆候を事前に把握する予知保全システム「スマートメンテナンス」を開発したと発表した。
これに伴い、現場に行かずに遠隔で状況把握・復旧を支援できる「リモートメンテナンス」と一体型となる保守サービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」として2026年1月に発売を開始する。
「ITOKIアドバンスドメンテナンス」は、シャトル式自動倉庫「システマストリーマー SAS-R」の稼働データを収集・AI解析し、故障の兆候を事前に把握することで、突発的な設備停止のリスクを軽減し、業務計画の安定化と、物流の「止まらない運用」を実現する。
●「ITOKIアドバンスドメンテナンス」の概要
「ITOKIアドバンスドメンテナンス」は、イトーキのシャトル式自動倉庫「システマストリーマー SAS-R」に搭載可能な保守サービスプラン。各機器に取り付けたセンサや制御装置から収集した稼働データをAIによる異常検知アルゴリズムが判断し、設備の状態や故障の兆候(いつもと違う)を把握・検知する予知保全システム「スマートメンテナンス」と、遠隔で状況把握・復旧を支援できる「リモートメンテナンス」の機能を搭載している。
収集する稼働データには、稼働時間、動作回数、動作距離等が含まれ、これらを蓄積・表示することで、設備の状態を継続的に監視が可能。直感的なUIにより現場担当者が稼働状況を理解でき、メンテナンス計画の精度向上につながる。
そうしたデータの可視化を基盤に、異常検知や入庫制限、部品交換時期の最適化といった高度な保全機能を展開することで、従来の時間ベース保守では対応しきれなかった突発故障のリスク軽減、計画的なメンテナンスによる最適化を実現する。

●スマートメンテナンス(予知保全システム)の主な特徴
①部品交換時期の最適化――データに基づく計画的保守で安定稼働を実現
稼働時間、動作回数、動作距離等といった実際の稼働データをもとに、部品交換の最適なタイミングをシステムが通知する。これにより、故障の未然防止につなげつつ、必要以上に早いタイミングでの交換を防ぐ。
②異常検知と入庫制限――故障の兆候を捉え、システム全体の停止を防ぐ
センサやモータから収集した稼働データをAIが解析し、データの変化を捉えて故障の兆候を検知する。異常が検出された機器については、システムが自動で入庫制限し、出庫のみを継続稼働させることで、システム全体への影響を局所化し、稼働停止の連鎖を防ぐ。これにより、物流現場における突発的なダウンタイムを最小限に抑え、安定した運用を維持することが可能になる。
●リモートメンテナンスの主な特徴
同システムは、拠点外から稼働データやログを収集し、設備の状態を遠隔で確認できるリモートメンテナンス機能を備えている。現場に赴かなくても、制御盤(LCU:Local Control Unit)の画面操作や一部のソフトウェア更新が可能であり、トラブル発生時の復旧時間の短縮につながる。これにより、保守員の派遣頻度を減らすほか、人的負荷の軽減とメンテナンス効率の向上を実現する。
●データ解析・機械学習フローについて
同システムでは、物流設備から収集した膨大なセンサデータをもとに、AIが設備の状態を学習・推定するプロセスを構築している。まず、拠点や季節によって生じる稼働データの差を補正し、ノイズを除去する等の加工処理を実施。次に、設備構造や動作特性といった業務知見と解析技術を融合し、異常を高精度に捉えるための特徴量を設計する。
モデル開発には「Oracle Autonomous AI Database」と「OCI Data Science」を活用し、高精度な学習と推論を効率的に実現。これにより、従来の閾値ベースの監視では検知が難しかった微細な変化も捉え、設備停止に至る前に予兆を把握できるAI異常検知システムを実現した。
●今後の展望
「ITOKIアドバンスドメンテナンス」は2026年1月に発売予定であり、まずは「システマストリーマー SAS-R」の保守サービスプランとしての提供を進めていく。さらに、他の物流設備や関連分野への応用も視野に入れている。

