パナソニック コネクト㈱(パナコネクト)は7月9日より、物流・製造現場の人・モノの動きから作業のボトルネックを可視化し、現場の改善に向けた真因分析を支援する、物体追跡技術を活用した課題発見型カイゼン支援ソリューション「CYTIS Insight(サイティス インサイト) for Worker(※1)」を提供開始した。

「CYTIS Insight for Worker」フロー図

昨今、物流・製造業界では、「2030年問題」として知られる人手不足の深刻化により、倉庫運用・生産プロセスの効率化が求められている。熟練者の経験・勘への依存作業を減らす取り組みの促進等、限られた人的リソースで生産性を向上させることが急務となっている。

今回、新たに提供開始する「CYTIS Insight for Worker」は、物体追跡技術を活用して現場の人の作業やモノの動きを自動的に検知し可視化する。それにより作業効率の改善に向けた分析を支援し、現場の生産性向上に貢献する。

同社では現場改善において①可視化、②標準化、③最適化という課題解決アプローチを提唱しており、「CYTIS Insight for Worker」は、現場改善に不可欠な①可視化と現場作業の②標準化を支援するもの。具体的には画像認識AIといったセンシングと物体追跡技術を用いて現場を可視化し、計画と実績を対比させて課題の抽出を通じて作業を標準化する。

その後、データに基づく日々の振り返り活動とシミュレーションを通じて現場にフィードバックすることで、現場の実態に基づく戦略策定と改善活動を促進し、生産効率の最大化に貢献する。

●「CYTIS Insight for Worker」の特長
①人・モノの動きをAIで常時検知し、実態把握の負荷を大幅軽減
画像認識AIといったセンシングと物体追跡技術を活用し、現場の人やモノの動きを24時間365日(※2)体制で自動的に検知・記録する。設定したエリア内での滞留時間やエリア間の移動傾向を正確に把握し、従来人手と時間を要していた現場の実態把握の負荷軽減に貢献する。さらに、特定エリアでの滞在や特定の動きをトリガーとして、作業の開始・終了を自動検知することで、各現場に応じた時間計測を実現する。

物流ラインでのセンシングイメージ
生産ラインでのセンシングイメージ

② 作業実態を可視化したダッシュボードで、俯瞰的・直感的な課題発見を支援
人・モノの動きに関するデータと、エリア情報や設備稼働データ等を自動で統合し、ダッシュボード(※3)に集約・可視化することで、現場の状況を多角的に分析可能。

【物流ラインでの例:梱包作業】
梱包作業において、設定したおおよその標準作業時間から乖離した遅延作業を俯瞰的かつ直観的に把握でき、作業のムリ・ムダ・ムラといった課題に対しいて改善支援を行う。

物流ラインでの例―作業分類の表示例

【生産ラインでの例:段取り替え】
設備が非稼働中に作業員が滞在している状況を、機種切り替え作業である「段取り替え」として自動で分類・集計するなど、現場の実態に即したステータスを細分化できるようダッシュボードを設計します。標準作業時間からの乖離や作業のムリ・ムダ・ムラといった潜在的な課題を、俯瞰的かつ直感的に発見することを支援します。

生産ラインでの例―作業分類の表示例(※4)

③録画映像との連携で、的確な改善策の検討を促進
ダッシュボード上で課題が特定された箇所や、さらに詳細な分析が必要な作業状況について、クリック一つで該当時間帯の録画映像にアクセスできます。実際の作業の様子を映像で確認することで、データだけでは把握しきれなかった課題の真因を深く掘り下げ特定することが可能です。憶測ではなく事実に基づいた具体的な改善策の検討を促進し、継続的な業務改善サイクルの実現と現場力の向上に貢献します。

可視化ダッシュボードから録画映像の確認イメージ

●事例:古野電気㈱ 三木工場
同工場では、2021年5月より製造リードタイム半減を目指し、スマート工場構築に向けた現場DXを推進している。業務が生産計画通りに進まず、手作業での作業時間計測は手間がかかり、改善活動の足かせになっていた中、「CYTIS Insight for Worker」で作業時間を常に計測して可視化し、毎日の振り返りや異常値の重点的な確認を行った。最新のAI技術と改善活動の伴走で、高速な改善サイクルの定着と全員経営の風土改革を実現し、生産現場で最大36%の大幅な工数削減に貢献した。

実際の設置現場―組立工程に全方位カメラ設置
ダッシュボードを確認し現場改善の議論をしている様子

●利用開始方法
問い合わせ/申込み
パナコネクト担当営業まで連絡、または同社システムお客様ご相談センターまで要連絡。
https://connect.panasonic.com/jp-ja/support/cs-contact

●課題発見型カイゼン支援ソリューション「CYTIS Insight for Worker」
https://connect.panasonic.com/jp-ja/products-services/cytis/cytis-insight-worker

※1:旧名称はMDOS(Manufacturing Digital Optimization System)。

※2:週に1時間のダウンタイムあり。

※3:別途ダッシュボードの開発が必要。

※4:以下定義で作業を分類し、ダッシュボードを構築した場合の例。
段取り開始:設備稼働データから取得した稼働終了後に、作業者が到着した時刻
稼働:設備稼働から生産が開始したことを把握して、その後作業者がいる時間
停止:作業者が不在の時間