㈱寺岡精工は4月15日、経済産業省の補助事業である「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」において、「麺惣菜盛付工程統合ロボットシステム開発、現場導入プロジェクト」に参画したと発表した。

麺惣菜盛付工程におけるロボットフレンドリー(※1)な環境構築を目指す同プロジェクトでは、同社が小型ガス置換(MAP※2)トレーシーラー「CIGNO(チーニョ)」、自動値付機「HC-800」で包装・値付工程を担い、さらにベンダー企業を代表してライン全体のエンジニアリングを担当した。

小型ガス置換トレーシーラー「CIGNO」

3月18日には、経済産業省・農林水産省等が開催する「令和6年度 ロボフレ事業報告会」に参加。ユーザー企業より同プロジェクトの成果が発表された。

●プロジェクト概要
今回のプロジェクトは、2024年度の経済産業省「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業に係る補助事業(ロボットフレンドリーな環境構築支援事業)(食品分野)」に採択されたプロジェクトの1つ。製造業の中で最も人手がかかっている食品製造業のうち、最も機械化が遅れているとされる惣菜・弁当製造業において、ロボット導入による人手不足解消を目的としている。

同プロジェクトでは、ユーザー企業の㈱デリモの麺惣菜(うどん、そば等)ラインの盛付工程に導入するロボットシステムを、ベンダー企業9社と共に構築。寺岡精工はそれらをまとめ、ラインを構築するエンジニアリングの役割も担当した。

●システム要素
①ネギ盛付けロボットシステム
②小袋移載ロボットシステム
③軽量・低価格清流機
④新AI品位検査装置
⑤ガス置換麺惣菜対応トップシーラー
⑥製品移載ロボットシステム
⑦製品番重積載台車冷蔵庫搬送AMR

寺岡精工は麺惣菜盛付工程のライン構築のエンジニアリングも担当した。

同社では、ガス置換トップシール(※3)包装を行う小型トレーシーラー「CIGNO」、後続のラベル印字・貼付けを行う自動値付機「HC-800」を導入した。ガス置換により消費期限を延長し、さらにトップシールは上面が平面で凹凸がなく、吸着パッドでハンドリングができるため、容器移載のロボフレ化を実現した。

「CIGNO」は機長約1.6mとコンパクトな設計ながら、残存酸素1%以下の高精度なMAP包装が可能で、商品の消費期限延長とそれに伴う生産・配送の効率化に貢献する。また、機械動作には電気制御を多く採用しており、コンプレッサや真空ポンプ等の付帯設備が不要。スペース面だけでなく初期投資を抑える点でも、中小の惣菜工場を含むあらゆる現場での導入を容易にするとしている。

●「CIGNO」製品ページ
https://www.teraokaseiko.com/jp/products/PRD00466/

※1:ロボットを活用しやすい周辺環境の整備と受容。略称:ロボフレ。
※2:ガス置換包装(Modified Atmosphere Packaging)。パッケージ内の空気を食品の保存に適したガスに置換して包装する技術で、賞味期限の延長が可能。
※3:トレー上淵にフィルムを溶着し密封する包装形態。プラスチックの蓋と比べてプラ使用量も削減。