パナソニック コネクト㈱(パナコネクト)は3月31日より、工場・倉庫内のフォークリフトやピッキングカートなど荷役車両の動線・手元作業の実態を可視化し、現場の改善に向けた真因分析を支援する業務アプリケーションとして、Visual SLAM(※1)を活用した課題発見型カイゼン支援ソリューション「CYTIS Insight(サイティス インサイト) for Cargo」を提供開始した。

昨今、製造・物流業界では、人手不足の加速、工場内の物流業務の複雑化に伴い、倉庫運用の効率化と生産性向上が求められている。特に、大きな荷姿を扱う工場・倉庫業務に不可欠なフォークリフトドライバーの有資格者数は年々減少傾向にあり(※2)、限られた人的リソースで安全に運用することが急務となっている。

そのような状況に対して、多くの企業が庫内荷役業務の実態可視化・自動化・現場データの活用に着目しているが、広大な敷地内で複数のフォークリフトが縦横に走行する現場では、その時々で異なる対応が求められる個々の作業内容を定量的に可視化し、手作業で真因分析を行うのは難しく、膨大な時間がかかるのが現状としている。
今回、課題発見型カイゼン支援ソリューション「CYTIS Insight for Cargo」により、作業内容を自動的に可視化し、短期間・低コストでフォークリフト等の荷役車両の稼働や荷姿の置き場所の改善に向けた分析を実現する。
●「CYTIS Insight for Cargo」概要
「CYTIS Insight for Cargo」は、Visual SLAM技術を活用し、作業動線と共に手元作業の映像を蓄積・解析することで、荷役作業を、荷姿有りの走行・空走行・停止・不要荷物の移動など作業単位で、“付加価値作業”と“非付加価値作業”(※3)に自動的に分解、作業実績を可視化する。例えば、荷姿の積み込み・積み下ろし作業を“付加価値作業”と定義し、その時間が短く生産性が低下している状況をアプリケーションのダッシュボードから即座に可視化することができる。

必要な機器は、荷役車両に取り付ける自己位置推定機能付きセンサカメラ、手元作業撮影用のカメラの他、工場・倉庫内に取り付けるARマーカのみで、専門的な電気工事等が不要なため、クイック&スムーズに導入が可能。
また、現場状況を自動的に分類表示できるため、変動の多い工場・倉庫の現場において継続的に、かつ、物損・衝突事故等の状況確認や安全運転意識への啓蒙としても活用することができる。

動線と作業映像、作業内容を紐づけることで「荷役車両がいつ、何の作業のために、どのような動きをしたか」が把握できるようになる。なお、同方法による分類データの自動生成については特許出願中としている。
●今後の展開
同社は工場・倉庫内物流において、倉庫管理システム(WMS)や倉庫実行管理システム(WES)を提供している。今回「CYTIS Insight for Cargo」で取得する荷役車両の走行動線や映像データによって、既存のWMS・WESだけでは取得できなかった作業実績を補完し、工場・倉庫内作業全体の可視化を可能にする。さらなるカイゼンの実現により、自律的な倉庫現場とサステナブルなサプライチェーンの実現を目指すとしている。


●利用開始方法
問い合わせ/申し込み
https://connect.panasonic.com/jp-ja/support/cs-contact
●課題発見型カイゼン支援ソリューション「CYTIS Insight for Cargo」
https://connect.panasonic.com/jp-ja/products-services/cytis/cytis-insight-cargo
※1:カメラ・イメージセンサの映像から自己位置や周囲の環境を認識する技術
※2:厚生労働省「技能講習等の登録教習機関数及び修了者数」(2025年2月11日)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/index.html
※3:フォークリフトの荷役業務を「価値作業」と「非価値作業」に分類する際の基準は、業務が直接的に生産性や付加価値の向上に寄与しているか否かである。
「価値作業」の例:積み込み・積み下ろし、出荷業務、保管・ロケーション管理等
「非価値作業」の例:待機時間、再配置、情報不足による確認行為、不適切なロケーションによる過剰な移動等