パナソニック コネクト㈱(パナコネクト)は1月15日、ベルギーの100%子会社でサプライチェーン実行系ソリューションベンダーのZetesのソリューション群のうち、物流業界における庫内作業のデジタル化や省力化を実現する倉庫実行管理システム(Warehouse Execution System:WES※1)「ZetesMedea(ゼテスメディア)」と、2018年から国内提供を開始している「ZetesChronos(ゼテスクロノス)」の配送実績データと連携し、配送業務の改善に貢献するデータコラボレーションプラットフォーム「ZetesZeus(ゼテスゼウス)」を2025年2月より提供開始する。

物流業界では深刻化する人手不足や高齢化、長時間労働の抑制等、労働環境の改善に加えて、燃料費や人件費の高騰といった物流コスト上昇への対応や、安定的な輸送品質を実現することが急務となっている。また、荷主事業者や物流事業者においては、改正物流法(※2)への対応として、現場の作業効率の改善やデジタル化、高位平準化の実現に向けた課題抽出や改善施策の実行が求められている。
同社は2017年、Zetesを100%子会社化。そのシステムの「ZetesChronos」を活用した「配送見える化ソリューション」を2018年より国内で展開し、配送において複数企業の共同配送や荷主事業者と物流事業者間での配達進捗の共有、個品管理の徹底によるトレーサビリティの実現など物流業界に貢献してきた(※3)。
今回、新たに提供を開始する「ZetesMedea」は物流倉庫において、紙や目視の検品等でアナログ的に管理していた業務のデジタル化を実現するシステム。システム全体を更新することなく、既存の経営管理システム(Enterprise Resource Planning:ERP※4)や倉庫管理システム(Warehouse Management System:WMS※5)等の管理システムの仕組みを活かしたまま、入荷から出荷までの業務における工程の一部でも導入することが可能となり、現場の運用への影響を抑制しながら無理のないシステム導入を実現する。ライセンス費用は月額サブスクリプションでの課金体系のため、イニシャルコストを抑えて利用を開始することができる(※6)。
また、「ZetesZeus」は配送業務において、荷主事業者や物流事業者での実態把握が困難だったドライバーの運行実態や作業実態の可視化を可能にするプラットフォーム。配送先別の滞在時間や遅延率、トラブル履歴から、荷待ちや付帯作業の実態把握や傾向分析等の情報把握を容易に実現し、課題抽出や解決に役立てることができるとしている。

今回提供を開始する「ZetesMedea」と「ZetesZeus」によって、庫内の現場オペレーションの高度化と荷待ち、荷役作業などドライバー負荷の軽減といった物流業界における課題を解決していくとしている。
●「ZetesMedea」の特長
(1)既存システムの機能拡張を実現し、一部工程でも導入が可能
ERPやWMS等、既存の基幹システムに追加する形で機能拡張を実現。SaaSベースのため、入荷検品やピッキング作業等、業務に課題のある部分のみ作業プロセス単位でモジュール提供が可能(※7)。
(2)倉庫作業指示、作業進捗の可視化が可能

管理者画面から、倉庫作業のプロセスごとの作業指示、進捗管理が可能。入荷検品やピッキング、積込検品等、広範囲の倉庫業務に対応する(※7)。
(3)倉庫作業の高度化を実現

既存システムや顧客の求める運用に合わせて無理のないデジタル化を実現。将来的には、人の作業のほか、カメラを用いた検品作業の省人化や、自律走行搬送ロボット(AMR:Autonomous Mobile Robot)、ロボットアームや自動倉庫との連携に対応していくとしている。
●「ZetesZeus」の特長
(1)「ZetesChronos」から得られるデータの集約が可能
「ZetesChronos」の管理者画面やドライバー端末の入力情報との連携が可能。荷待ちや付帯作業の状況を可視化し、ドライバーの作業環境の改善や配送業務の効率化をサポートする。
(2)運行実態や配送実態などドライバーの活動データの可視化が可能

ドライバー別、拠点別、荷物別等、様々な角度でデータ分析が可能。ダッシュボード画面上で、過去の実績データとの比較もできるようになる(※8)。
(3)ドライバーの荷待ちや付帯作業、配送先や荷物単位のトラブルの集計が可能

配送先や集荷先の到着時刻や出発時刻、作業開始時刻等をドライバー端末から自動集計することで、トラックの荷待ちや契約外の付帯作業の実態把握が可能。配送先や委託業者、荷物単位でのトラブルやインシデントの集計ができるようになる。
※1:在庫管理や入庫、ピッキングなど現場の作業データをリアルタイムに把握するソフトウェア「倉庫実行管理システム」
※2:国土交通省 改正物流法
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/seisakutokatsu_freight_mn1_000029.html
※3:主要事例
福岡運輸㈱
https://connect.panasonic.com/jp-ja/case-studies/fukuokaunyu
大阪運輸倉庫㈱
https://connect.panasonic.com/jp-ja/case-studies/ousgrp
㈱ゼンリンニュースリリース(2024年6月3日)
『複数の物流事業者の荷物を、地域の事業者がまとめて配送「共同配送」を実現する「共同配送システム」を構築』
https://www.zenrin.co.jp/information/public/pdf/240603-02.pdf
※4:在庫管理・輸送管理・発注管理等の業務を一元管理するソフトウェア「経営管理システム」
※5:倉庫内の一連の作業、具体的には入荷・在庫・流通加工・帳票類の発行・出荷・棚卸等を効率化し、一元管理するソフトウェア「倉庫管理システム」
※6:費用の詳細は同社営業担当要問い合わせ。
※7:端末、および作業工程ごとにライセンス費用が発生する。
※8:ドライバー端末、およびダッシュボード閲覧ユーザ数ごとにライセンス費用が発生する。